最終章 大魔王の夢 - 不毛の大地グレブド・ヘル -
第52話 学問の禁忌(2)
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あ、すまない」
回復を喜ぶデュラに顔の鱗をこすりつけられ、痛がりながらも嬉しがる。ソラトは器用だか不器用だかわからないような反応を示した。
今度はティアの番である。
アランは必死に礼を言うデュラに小さなうなずきと微笑で応えると、治療を開始した。
腹部に刺さった矢をシドウが抜く速度に合わせ、回復魔法をかけていく。
そして少し揺さぶると、ティアは意識を取り戻し、起き上がった。
「ティアっ」
「きゃっ! ちょっと! 何すんの!」
「だって治ったから」
「わかってるけど! あんた裸じゃないの!」
「あ」
アランがクスっと笑って自らのマントを外し、引き離されたシドウの体にかけた。
「でも誰が回復魔法を? あー……アランね? あんたほんと嘘だらけだね! 回復魔法は苦手なんじゃなかったの?」
「これは隠す目的でついていた嘘ではありませんよ。マーシアの町のときにティアさんがシドウくんの治療をしたがっていたように見えましたので、私は回復魔法が苦手という設定に――」
「あー! おかげで助かった! アランありがとう!」
そのやりとりにシドウが苦笑したときだった。
玉座のほうで大きな音がした。
全員が玉座を見る。
そこには、巨大な棺に寄りかかるようにダヴィドレイが起き上がっていた。
その変身は解け、人型モンスター・アルテアの民の姿に戻っていた。
「あっ――」
まさか、と思ったシドウの口から声が出る。
「ハハハ……術をかけた」
やはりそのまさかだった。
体から赤い血を噴き出しながら、ダヴィドレイが狂気の笑いを浮かべる。
巨大な棺の蓋が震えながらずれ、その隙間から光が漏れた。
そのまばゆさは、シドウたちが思わず手を目の上にかざしてしまうほどだった。
光がおさまる。
兜を着けた頭蓋骨、胸当ての金属がきらめく白骨の上半身が、ゆっくりと姿を見せる。
ダヴィドレイは全身の露出を待たず、足元に落ちていたエリファスの大剣・エメスを拾った。
「フハハハ……蘇ったぞ……」
棺から立ち上がった白骨は、とてもアルテアの民のものとは思えないほどの大きさだった。
人間の男性の二倍ほどはあるだろうか?
その異様さに、シドウらは固まった。
巨大な白骨は棺の前に立つと一度動きをとめ、シドウたちを見つめた。
そのまま動かない。高貴な黒いマントだけが揺れる。
しかしダヴィドレイから大剣が差し出されると、その白骨の手が動いた。
巨大な白骨が大剣を握ると、ダヴィドレイは一段と狂気じみて笑った。
そしてヨロヨロと大魔王の前に出ると、シドウたちを指で示す。
「大魔王よ……。この愚か者どもに……裁きを……与――」
言
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