ちいさなしまのおはなし
闇に潜む者
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…ダイ、』
ブイモンの口から、大輔の名前が最後まで紡がれることはなかった。
じ、っと賢とヒカリを交互に見ていた大輔は、やがて2人から顔を逸らしたかと思うと、ブイモンを引き寄せて抱き枕みたいにぎゅうぎゅうしながら、布団を頭まですっぽり被ったのだ。
大輔の顔を見ることはできなくて、どうして大輔が突然抱きしめてくれたのか、ブイモンは訳が分からなくて頭上にたくさんの疑問符を浮かべたけれど、大輔と密着できるこの状況はかなり嬉しい。
誰かに触られると、全身が硬直して呼吸が出来なくなって、目の前もぼやけて、足元がふらついて上手く立てなくなるのに、大輔とヒカリと賢は触れられても何ともなかった。
大輔はパートナーだからまだしも、賢とヒカリまで平気なのは何故なのか、幾ら考えてもブイモンには分からない。
パタモンとプロットモンが平気だからなのかな、って思うけれど、そもそもどうしてパタモンとプロットモンは平気なのか、その理由が分からなかったから、幾ら考えても無駄なのだ。
難しいことはもういいや、大輔にぎゅってしてもらってるから。
そう思って、ブイモンは暗闇に身を委ねるために、目を閉じた。
直後に、突き刺さるような強烈な悪意を感じて、デジモン達は飛び起きた。
疲れ果ててぐっすりと眠りについていたはずだったのだが、示し合わせたように一斉に起きたのだ。
勢いよく起き上がったためにベッドが激しく揺れて、深い眠りについていた子ども達の意識を強制的に引きずり出した。
太一と治に至っては、先ほど妹と弟に起こされたばかりだ。
今度は何だよ、って太一はパートナーであるアグモンに抗議しようと、上半身を起こす。
「……え?」
そして、視界に映った光景に、太一は言葉を失った。
満天の星が、目の前に広がっていたのだ。
いや、待て。そんなはずない。
だってここは室内だ。丈が見つけた、デジモン達が住むには少々不便そうな、しかし人間である自分達が使うには十分すぎるほどの、立派な屋敷で今日は寝泊まりしたはずだ。
お休みをしたときは、きちんと壁と窓と天井があったのだ。
なのにどうして夜空に散りばめられた星が、太一の視界いっぱいに広がっているのだろう。
「なっ……!?」
「え、え?何これ、何で、どうして?」
パートナーに起こされた形で目を覚ました、他の子ども達も動揺している。
崩れかけた壁、罅が入っている窓、ところどころ穴が開いている床、あの綺麗な館は、見るも無残なものとなって、子ども達の目の前にある。
「……ガブモン?どうした?」
唖然として、朽ちかけている屋敷を眺めていた子ども達の中で、デジモンの様子がおかしいことに気づいた治が、賢を抱きしめながらガブモ
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