ちいさなしまのおはなし
闇に潜む者
[7/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
達をこの世界に呼んだ理由を話してくれたお陰で、目的は見つけられた。
この世界の闇を晴らし、救うこと。
困惑した子ども達だったが、それで自分達の世界に帰れるのならと、1度は了承した。
次に会ったときに幾らでも文句は受け付ける、と言っていたから、それまでの辛抱だと、子ども達は堪えてきた。
堪えてきたのだけれど……。
「……ごめん」
やらかしたと悟った丈は、小さく呟いた。
誰も、何も言わない。丈を責める言葉も、気にするなという言葉も、誰もかけない。
丈の言う通りではあるけれど、まさか二晩に渡ってやらかすとは思わなかった。
昨日の晩も、丈が余計なことを口走ったせいで、子ども達は意気消沈してしまった。
あの時はゴマモンが丈を宥めて、話を逸らしてくれたから事なきを得たものの、今そのゴマモンはぐっすりと寝入ってしまっている。
治が止めてくれなければ、丈が紡いでいたその先の言葉で、子ども達の心はぽっきりと折れていたかもしれない。
「……もう寝ようぜ」
「……そうね」
静まり返ってしまった子ども達に、そう声をかけたのは、やっぱり太一であった。
それに空が賛同すると、子ども達は詰まらせていた息をほっと吐く。
それぞれのベッドの横の棚にあるライトを消して、子ども達は眠りにつくのだった。
月はすっかり夜空の頂点に登り、青白い光が濃紺の背景で煌めいている。
野生のデジモン達もその身を闇に委ねているのか、辺りを闊歩しているような音や荒い息遣いなどは聞こえてこない。
風が通り抜ける足音すら死んでいた。
悪意の手が、子ども達の首を絞めつける。
弾けるように飛び起きた大輔の顔は、青白い月明かりの下でも分かるほどに真っ青だった。
掛け布団を握りしめ、全身は変に力が入っているかのように硬直しており、その反動で掛け布団を握っている両手ががちがちに震えている。
振動がベッド全体に伝わり、大輔の横でぐっすりと寝こけていたブイモンが、それに気づいて目をとろとろさせながら開けた。
『……ダイスケ?どうしたんだ?』
返事は、ない。光源は窓から降り注ぐ月明かりしかなく、しかも大輔とブイモンがいるベッドは窓から遠い位置、部屋の入り口に近いところにある。
だから大輔が今どんな表情を浮かべているのか、薄らとしか分からないのだが……。
──怯えてる?
パートナーとしての直観なのか、ブイモンは大輔の横顔を見てそう判断した。
……誰かに触れられた時の自分と、様子が似ていた、という理由もあったけれど。
『ケン?』
『ヒカリ?どうしたの?』
その直後、ほぼ同時に友人の声が聞こえた。
大輔とブイモンがいるベッドの真正面と、左側。
正面のベッドにいるのはヒカリで、左にいるのは賢である
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ