ちいさなしまのおはなし
闇に潜む者
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ンに漂ったが、誰も住んでいない館に食材が置いてあったら、それは逆にホラーだろうし、怪しんだ方がいい事案である、という治の主張により一行は納得した。
ブイモン・パタモン・プロットモン以外のパートナーデジモン達は疲れ果てて寝入ってしまっているので、何人かを留守番で残して、外に出ていつものように果物を見つけて、両腕いっぱいに抱えて、戻ってくる。
果物を調理するにも、他に何も材料はないし、流石の治も果物を使った料理は思いつかず、結局そのまま丸かじり、いつものように食べることとなった。
「はいブイモン、パタモン、プロットモン。お腹空いてたんでしょう?いっぱい食べてね」
にこにこしながら、何かと最年少の世話を焼くミミに困惑しながらも、最年少とそのパートナー達はお礼を言ってリンゴにかぶりつく。
そろそろ果物も飽きてきたなぁ、お肉とか食べたいなぁ、とは思っても口には出来ない。
いつもならミミが真っ先にそういうことを口にするのに、昨日も今日も我儘を1度も漏らさなかった。
変だなぁって、どうしてかなぁって、大輔はずーっと思っていたけれど、太一や治や空のように、何かと構って世話を焼いてくれている姿を見ると、水を差すのが申し訳なくて何も言えない。
悪い気はしないし、ミミが最年少達の面倒を見ていると、どうも上級生達は話し合いに集中できるみたいなので、ミミの態度についてなにも言及はしてこなかった。
まあいっか、と思うと同時に、やはり何処かむず痒くなる。
食事が終わると、子ども達は5年生を先頭にして、浴場の方へ向かう。
お風呂がある、湯船に張ったお湯にゆっくりと浸かれる、と聞いて子ども達、特にミミとヒカリは大喜びであった。
男女に別れて、それぞれ脱衣所で服を脱ぐ。
湯船は、ちょうどお湯がたっぷりと溜まった頃だった。
蛇口を捻ってお湯を止めてから、太一達はまずシャワーを浴びる。
ゲンナイがくれたシャワー用のテントのお陰で、身体をさっぱりさせることはできていたのだけれど、やはり日本人なら肩までお湯に浸かって、ゆったりとした時間を過ごしたいものだ。
髪と身体を丁寧に洗い、子ども達はお湯に浸かる。
その際太一が、自分達の世界では絶対にできない、湯船に飛び込むということをしでかして治に怒られたが、太一はいつものように軽く流した。
「………………」
「ん?どうした、大輔、賢?」
「入らないのか?」
久しぶりのお風呂で、すっかりリラックス気分の太一達は、様子がおかしい大輔達に気づく。
じ、と湯船を見つめて、入ろうとしない。
いや、見つめている、というより睨んでいる?と聞きたくなるような目つきを、大輔はしていた。
右手には相変わらずブイモンの左手が握られている。
シャワーを浴びていた時も、何やら訝し気にシャワーヘッドを見つめて
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