ちいさなしまのおはなし
闇に潜む者
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世主達のことだと教えてくれた、自分達のことだ。
『お前たちは私にとって、邪魔な存在なのだ。黒い歯車でこの世界を覆いつくそうとしている、私にとってはな!!』
徐に両手を掲げるデビモン。
何処からか地響きが聞こえてきた。
空に浮かんでいるせいで太一達には分からないが、両手を掲げたデビモンに呼応する形で、ムゲンマウンテンを中心として、ファイル島全体が揺れているのだ。
それはさながら、大地が四肢をもぎ取られて悲鳴をあげているかのような、大きな揺れだった。
ぴし、ぴし、ぴし、とムゲンマウンテンの頂上から麓に向かって、稲妻のような亀裂が走る。
上から鋭い切っ先のナイフを振り下ろされ、無理やり押し広げられた岩山が、大きな岩の塊にその姿を変え、崩れていく。
崩れたムゲンマウンテンの中には、無数の黒い歯車が空気を擦り、不気味な音を立てながら回転していた。
麓にたどり着いた亀裂は留まることを知らず、今度は大地をかける。
見えない手がその亀裂から大地を引き裂くように、砂ぼこりと崩れる瓦礫の音を立てながら2つに、4つに、8つにどんどん別れていく。
『ファイル島は既に黒い歯車で覆いつくした……』
ファイル島の中心にして心臓部であるムゲンマウンテンから、かつてファイル島の一部だった島が離れていくのを、子ども達は空飛ぶベッドから見下ろすことしかできなかった。
最初に目を覚ました森、使えない電話ボックスが立っていた砂浜、かつてキャンプをした湖、広大な砂漠、生み出すものなど何もなかった工場、おもちゃに愛される町長がいる町。
子ども達の眼下で、全てが崩れていく。
──これを、あのデジモンが、1人で?
治は得体のしれない恐怖を感じながら、デビモンに視線を向けた。
風に煽られそうになりながらも、何とかガブモンと2人で必死にベッドに捕まりながら、治は息を飲む。
もしも、ゲンナイが言っていた“ファイル島に巣食っている闇”が、あのデジモンを指しているのだとしたら……。
──……恨むよ、ゲンナイさん……!
たった1人で、小さいとはいえ島1つを八つ裂きにするほどの闇の力を持った相手と、どう戦えというのだろうか。
ガブモン達が進化をして、全員でかかっても勝ち目がない確率の方が高い。
頭の回転が早い故に、最悪の事態を想定してしまった治の顔は、真っ青である。
『──次は、海の向こうの世界、全てだ!!』
程よい硬さのものを、両手で千切りながら1つずつ捨てていくように、小さなファイル島は更に小さな島となってバラバラの方角へと流されていく。
「お兄ちゃーん!!」
「ヒカリィ!!」
小さな妹が、ベッドとパートナーに必死にしがみつきながら、最愛の兄を呼ぶ。
妹の下に駆け付けたい兄は、しかし縦横無尽に暴れま
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