最終章 大魔王の夢 - 不毛の大地グレブド・ヘル -
第50話 人類代の終わり
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排除され……こんなに優れたものがあるだろうか?」
「優れているから、新魔王軍という集団はアンデッドになって、人間を支配するべきという理論なのですか?」
「そんな小さな考えではない」
彼がシドウの言葉を打ち消すと同時に、もう一体の背の低いほうが、杖を一度振るった。
ガチャガチャという金属のこすれあう音。
二体の後方の入り口から、鎧に身を包んだアンデッドが多数現れた。
そしてシドウたちの後ろからも、である。どこから現れたのかは謎だが、アンデッドが多数入室してきた。
挟まれるようなかたちとなり、一同の緊張が強まる。
大きさの関係でシドウよりも少し下がっていたデュラと、その横についていたソラトが後ろを向き、背後からのアンデッドに対峙した。
「私は気づいた。アルテアの民も人間も、究極の生物・アンデッドの世になるまでの過程にすぎない生き物なのだ、とな……。かつての大魔王もアンデッドの生成技術を生み出すためにこの世界に誕生し、今無数にいる人間たちもアンデッドになるために存在しているのだろう。
すでにアンデッドの生成技術は完成形となり、私もアンデッドとなった。あとはダヴィドレイ様が研究している『大魔王を意のままに操れる』術が完成すれば、いよいよ我々は未来に向けて動き出すことになる」
シドウは反論せずにはいられなかった。
「アンデッドは自然から外れる歪な、不要な存在です。アンデッドが世界を脅かそうとしているのであれば、俺らはそれをここで阻止しなければいけません」
「歪? それならお前はどうなのだ? ドラゴンであり人間。これが歪でなくてなんだ? お前のような者こそ世界に不要な存在だろう」
「――!」
背の高いほうのアンデッドが杖を掲げる。
杖の先に付いている赤い宝玉が輝き、アンデッドの頭上に大きな炎の球……いや、色は白に近く、まるで光の玉のようなものが現れた。
それは人間の背丈を超えるほどの直径で、薄暗いホールが明るく照らされた――
のは一瞬であり、その光の玉は、多数のアンデッドに遠巻きにされていたシドウたちへと発射された。
この大魔法を体で受けられそうなのは、前列はシドウ、後列はデュラである。
デュラは素早く同じ後列のソラトをかばう姿勢に入った。
しかしシドウのほうの反応は遅れた。
「ご安心を」
ハッとするシドウを落ち着かせるように、アランが静かな、だが速い声を発した。
シドウたちの体を周りを、鋭い冷気が一瞬で前方上へ鋭く駆け抜ける。否、この部屋のすべての空気が冷気となり、瞬時に一点を目指した。
シドウたちの陣の中央で大爆発を起こす予定だったであろう光球は、その手前の空中で輝く冷気に包まれ、消滅した。
「シドウ、まーた考えてたでしょ。変な
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