ちいさなしまのおはなし
ムゲンマウンテン
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々ぼろい黒、名前はユニモンというらしい。
神話などに全く興味がない丈は知らないのだが、ユニモンのモデルはユニコーンであって、ペガサスではない。
ユニコーンは頭部に1本の角が生えているのが特徴で、日本では一角獣と呼ばれている。
獰猛だが清らかな乙女が好きで、その懐に抱かれると大人しくなるという。
角には蛇などの毒で汚された水を清める力があるそうだ。
対するペガサス、あるいはペーガソスはギリシア・ローマ神話に登場する翼を持つ馬で、日本語では天馬である。
海の神・ポセイドンとゴルゴン3姉妹の三女・メデューサの子で、英雄ペルセウスによって首を落とされたメデューサの首の切り口から生まれた。
そのペガサスを元にしたデジモンは、およそ3年後に登場することになるのだが、それは後に語ることになるだろう。
今までデジモン達の情報を信じていたら酷い目にあった結果しかなかった丈は、ユニモンは大人しいから大丈夫だというゴマモンの言葉を信じることが出来ず、彼を抱きかかえて近くにある岩壁の窪みに身を隠した。
だが丈の心配とは裏腹に、ユニモンは優雅に着地を決めると、岩山を伝って流れ落ちている小さな滝に首を近づけ、水を飲み始めた。
どうやらユニモンの水飲み場らしく、丈はほっと胸を撫で下ろす。
ほら見ろ、とゴマモンは鼻を鳴らしたので、苦笑しながら謝罪した。
本当に大人しいデジモンなので、恐らく丈が近づいて撫でたりしても怒らないだろう、とゴマモンは言いながら静かに歩み寄る。
流石にそんな勇気は持てないので、ゴマモンを止めようとした時。
一難去ってまた一難、というのはこのことだろう。
空気を擦るような微かな音を聞きつけ、水を飲んでいたユニモンは顔を上げ、耳を忙しなく動かした。
ゴマモンの耳もそれを捕らえたようで、ピタリとその動きを止める。
“ソレ”が良くないものだとゴマモンの本能が警鐘を鳴らし、警戒心が一気に膨れ上がった。
悪意が、山の眼下に広がる森の間を駆け抜けている。
ユニモンとゴマモンだけに聞こえていた微かな音は、やがて大きくなっていき、食物連鎖の頂点に立ってしまったことで敵に対する本能などが鈍くなっている人間の丈の耳にも、それは聞こえてきた。
不安そうに辺りを見回す丈とは裏腹に、ゴマモンは一点を見つめている。
音がする方角が正確に分かっているようだったが、丈は気づかない。
静まり返っている空間が、一層不気味だった。
空気を擦るような音が近づいてくる。
それは、上の方から聞こえてきた。すっかり昇りきった朝日が眩しくて、腕で影を作りながら目を細めて上を見上げた時、丈は“ソレ”を見た。
「あれは……!」
『黒い歯車だ!さっき飛び出していったやつか!?』
不気味な音をかき鳴らし、濃厚な闇の
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