暁 〜小説投稿サイト〜
ナイン・レコード
ちいさなしまのおはなし
ムゲンマウンテン
[9/14]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
目で断層が生じ、地震が発生するのが主な原因なのだが、火山大国でもある日本には火山性地震というマグマの移動などの火山活動によって発生する地震も存在している。
だから丈は、ムゲンマウンテンが火山なのではと推測した。
同時に、最悪の事態が頭を過った。
もしもムゲンマウンテンが火山なら、この地震は火山性地震である。
ということは、いつマグマが噴き出てもおかしくない。
種類にもよるが温度が1000度前後の高温である、熱いなんて言葉では済まされない。
これは避難をした方がいいのか、ゴマモンを抱えて元来た道を戻り、下級生達に知らせなければ……。



その時である。
岩肌の一部がまるで切り取られたかのように真っ二つになり、そして地響きを立てながらゆっくりと横にスライドした。
そしてその不自然に綺麗に切り取られた割れ目から、悍ましい闇の気配を漂わせた大量の歯車が飛び出してきたのである。
背後から綺麗な星空を漂う濃厚な闇の気配を醸し出している歯車を見た丈とゴマモンは、歯車が飛んできた方向に顔を向けた。
二つに分かれた岩肌が、またゆっくりと下に戻っていくのを見た丈とゴマモンは、その場に向かうことにした。
この山は、何かおかしい。



高い岩山の向こうから顔を出した太陽の光で、もう朝なのだと知った丈達。
そろそろ下級生達が目を覚ますころだろう。
そして、丈とゴマモンがいないことに気づいて、みんなで何処に行ったのだと探し回るだろう。
目立つところにメッセージを残したつもりだったが、テントの入り口ではみんなが出入りする間に消されてしまう恐れがあったのを、丈は今頃になって思い立った。
どうかみんなが気づいてくれますように、と願いながら、丈とゴマモンは先ほど歯車が飛び出してきた辺りに到着した。
パッと見渡したところ、切れ目のようなものは見当たらない。
まるでナイフで切ったかのように、不自然なぐらいに綺麗に真っ二つにされていたのに、その切れ目が何処にも見当たらないのである。
おかしいな、ここではなかったのかな、と訝しみながらも丈がもっとよく探してみようと1歩踏み出した時。

『待って!』

ゴマモンが真剣な声色で丈を止めた。
見れば、険しい表情で辺りを伺っている。
どうしたの、って問いかければ、何かが聞こえると返ってきた。
耳を澄ませてみると、確かに何かが聞こえてきた。
何か、布のように柔らかいものが何度も空中に叩きつけられるような音。
岩山からすっかり顔を出した白く丸い光の向こうに、丈とゴマモンは天馬を見た。
朝の涼やかな風の中、美しいとはいいがたいものの、丈の世界では想像上の生物として神話などに描かれている、背中に翼の生えた馬が、今まさに目の前を悠然と空を駈けている。
角が生えている赤いヘルメットを被り、翼は少
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ