暁 〜小説投稿サイト〜
ナイン・レコード
ちいさなしまのおはなし
ムゲンマウンテン
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てて冗談だと弁解した。
海洋生物のゴマモンの“ソレ”は手というよりはヒレである。
だからこそ、違いを正さないと気が済まない丈は、ヒレを手と称するゴマモンに疑問を抱いたのだが、ゴマモンにとってヒレは人間の手であることに相違ないので、間違ってはいない。
また、ゴマモンの“ゴマ”はゴマフアザラシから来ているのだろうが、アザラシというよりはアシカかオットセイの方が近い気がする。
アザラシは地上では腹ばいになって移動するが、ゴマモンは前ヒレを動かして移動しているのだ。
それはアシカやオットセイの歩き方に酷似していた。

「君はアシカなの?オットセイなの?」
『?オイラはゴマモンだよ?』

何となく気になって聞いてみるが、返ってきたのはいつものように不毛な答えである。

「いや、そうじゃなくて。それは知ってるけど、そのゴマモンは何科なの?」
『???』
「……ごめん、僕が悪かった」

ここは異世界だ。だからもしかしたら、丈の世界のように何々類何々科という分類がないのかもしれない。
ちなみにアシカは鰭脚類アシカ科である。



先に進む。岩肌の間を抜けるような小川を飛び越え、誰がかけたのか丸太の橋を危なげに渡り、洞窟を抜ける。
丈の足幅ぐらいしかない崖先を、背中を岩肌にくっつけて慎重に進む。
行き止まりになっている岩壁をよじ登り、道なき道を真っすぐ突き進んでいく。
登り切ったところで、流石に息が切れてきた丈とゴマモンは、その場に座り込んだ。
見上げたムゲンマウンテンは、先ほどよりは距離が近づいてはいるものの、まだまだ遠い。
だがやると決めたのだ。やっと半分近くまで登ってきたのだから、途中でやめるなんて選択肢は始めからない。
切れた息が整ってきたらまた歩き出そう、とゴマモンと並んで星空を眺めていた時である。

「……う、わ!な、何だ!?」
『じ、地震!?』

突如として揺れ始めた地面。下から突き上げるような振動に、丈とゴマモンは何事だと焦った。
近くでガラガラと岩が転がり落ちるような音がしたから、岩肌に背を預けていた丈達は慌ててその場から離れた。
地震大国と呼ばれる日本で生まれた丈は、避難訓練の時を思い出して持っていた鞄で守るように頭に乗せ、更にゴマモンを自分の傍に引き寄せた。
日本が地震大国と呼ばれるのは、地震を引き起こす原因とも呼べる“プレート”と呼ばれる真上に日本列島が位置しているから、というのは、本で得た知識だった。
ユーラシアプレート、フィリピン海プレート、太平洋プレート、そして北米プレートという、世界でも珍しい4つのプレートがぶつかり合っている真上にあるのである。
プレートは可視化できないほどゆっくりとした速度で動いており、一方のプレートの下にもう一方のプレートが沈み込み、そのプレートの境
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