ちいさなしまのおはなし
ムゲンマウンテン
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と同じだ。
ずーっとずーっと、気が遠くなるような長い年月を、ゴマモンは待っていたのだ。
みんなで身を寄せ合いながら、いつ来るのかな、明日かな、明日だといいなってみんなでわくわくしながら、ゴマモンは丈を待っていたのだ。
それなのに勝手に1人で悩んで、勝手に1人で決めて、勝手に置いていこうとして、何て自分勝手なんだろう。
『タイチとオサムのこと、あれだけぐちぐち言ってたくせに、自分もオイラに同じことするなんて、酷いよ、ジョウ』
「……ごめん」
太一達が最年長の自分を差し置いて、勝手に突っ走ることに対して怒っていたのに、それなのに自分が同じことをするなんて本末転倒である。
ゴマモンに言われて気づいた丈は、素直に謝罪した。
あれだけ嫌だって、年下達が言うことを聞いてくれないって地団駄踏んでいたのに、されて嫌だったことをゴマモンにしようとしていた。
年下達はみんな、自分のパートナーだと名乗っているデジモン達を頼りにし始めているのに、丈はゴマモンに対して警戒心は解いているけれど、それは完全に信頼しているというわけではなかったのだ。
パートナーを信じていない者が、年下達から信じてもらえるはずがないのに。
『ねえ、オイラそんなに頼りない?ジョウの力になれない?』
「……いや、そんなんじゃないよ。僕だ、僕が僕を信じていなかった。頼りにしていなかったんだ。自分でも情けないって気づいていたのに、気づかないふりして、心に蓋をしてしまった……お前に対しても、心を閉ざしてしまっていたみたいだ、本当にごめんね、ゴマモン」
『ん、いいよ。連れてってくれるんなら、許してあげる』
「分かった。行こう、ゴマモン。僕は、僕らは僕らにできることをやろう」
『そーこなくっちゃ!』
浮上した意識は、暗闇に閉ざされた視界の向こうに、淡いオレンジ色の光を捕らえる。
ぐっすりと眠りこんでいたはずの大輔だったが、尿意を催して意識が引っ張られてしまった。
眠気と尿意が一緒に襲ってきて、ベッドの中で落ち着きなく何度も寝返りを打っている。
そういえば寝る前にトイレに行っていなかったことを思い出し、渋々起き上がった。
このまま眠気に負ければ、翌日間違いなくベッドが大洪水を起こしているだろう。
小学2年生にもなっておねしょなんて、目も当てられない。
大輔はゆっくりと身体を起こすと、その振動がベッドに伝わって、一緒に寝ていたブイモンも起きてしまった。
どうしたの、って聞かれたから、トイレだって素直に言ったら、自分も行くと言ってブイモンもベッドから降りる。
しぱしぱする目を軽く擦りながら、最小限の明かりが灯されているテントを真っすぐ歩いた。
何となしに辺りを見回すと、太一と治、光子郎と賢がそれぞれのベッドで寝ているのがうっすらと見えた。
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