ちいさなしまのおはなし
ムゲンマウンテン
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や決断力もなければ、治や空のように気配り上手でもない。
光子郎のように何かに特化しているわけでも、ミミのように場を和ませられるような性格でもない。
それでも、丈は6年生だ。1番年上なのだ。年下しかいない状況で、頼りにされたいと思うのは当然だし、8人分の責任が伸し掛かって、プレッシャーを感じているのも、仕方がない。
『……ジョウ?どうしたんだ?』
抱き上げていたゴマモンを地面に下ろした丈は、何かを決意した表情を浮かべながら立ち上がる。
シャワー用のテントをちらりと見やった。
空とピヨモンは、まだ上がってくる気配はない。
それを確認した丈は、男子が寝ているテントの前に移動すると、手ごろな石ころを手に持ち、地面に何かを書いた。
「……これでよし、と」
満足げに頷いた丈は、テントに背を向け歩き出した。
『ジョウ?』
「ゴマモンは、ここで待ってて。僕はあの山に行ってくるから」
『はあ?何言ってんの、1人で行くなんて無茶にもほどがあるって!あの山は……』
「知ってるよ。気性の荒いデジモンが住んでるんだろう?」
『じゃあ、何で……!』
「僕が、行かなきゃいけないからさ」
それ以外に理由なんてない。
自分は年上だから、6年生だから。
何かあったときに責任を取らなければならないのは、丈だから。
確かに丈は優柔不断である。
2つ以上の道があって、どちらかしか進めないと言われたら、散々悩んで選択して、やっぱりあっちにすればよかったって後悔することは、多々ある。
だが丈は、やると決めたことは必ずやり遂げる、という意志の強さも持ち合わせていた。
短所は、長所である。頑固者と言われるほど頭の固い丈だが、それは逆に言えば意志の強さを表しているのだ。
決めるのに、やり始めるのに時間がかかるだけなのだ。
「じゃあね、ゴマモン。みんなのことよろしく」
『……ふざけんな!』
夕飯後に見せていた情けない顔は、同一人物とは思えないほどの決意に満ち溢れている。
そんな丈を、ゴマモンは腹立たしく思って、叫んだ。
声を荒げたゴマモンに、みんなが起きたらどうするんだ、と丈は焦ったが、そんなのゴマモンの知ったことではない。
今、言わなければいけないことは。
『うだうだ悩んでたと思ったら、勝手に1人で決めちゃってさ!何だい、何だい!オイラはそんなに頼りないのかよ!』
「ゴマモン……?」
『ふざけんなよ、ジョウ。オイラはジョウのパートナーで、ジョウのパートナーはオイラなんだ!オイラも行く!頼りないジョウを1人になんかさせるかよ!』
前のヒレをばたばたさせながら言うと、ゴマモンは唖然としている丈を尻目に歩き出した。
他のデジモン達と違って丈にはずけずけと意見を述べるけれど、それでもゴマモンだって他のデジモン達
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