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ナイン・レコード
ちいさなしまのおはなし
ムゲンマウンテン
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痴かな。うーん、何て言うか、世界なんて規模の大きなものを救わなきゃいけないし、どれぐらい時間がかかるのか分からないのに、みんな暢気すぎるよ。世界の危機はすぐ目の前まで急かっているのかもしれないのに……」

そういったことが積み重なって、焦りを感じていた丈は目玉焼きの件がきっかけになって爆発してしまったらしい。
すぐに大輔と賢が不思議そうに質問を重ねてきて、更にゴマモンに宥めてもらったお陰で、すぐにその爆発は収まったのだけれど、今考えると本当に申し訳ない。
目玉焼きごときでメンバーの輪を乱すなんて、6年生としてあってはならないことである。

「……それにさ、太一も治も、お互いのことすごく信頼し合ってる。太一は僕がどれだけダメだって言っても言うことなんか聞かないのに、治の言うことならあっさり聞いて、治は治で何をするのか聞く時は真っ先に太一を頼るし……」

むしろそちらの不満の方が大きいのだろう。
自分はメンバーの中で1番年上なのに、しっかりしなくては、他の子ども達をしっかりとまとめて、守らなければならないのに、太一は丈の言うことなんかに耳も傾けず、1人で突っ走ってしまう。
そして、迷った時は治か空からの助言を乞うのである。
年上の丈ではなく、同い年の治か空なのである。
確かに丈の目から見ても、治は冷静だし頭も要領もいい。
太一と治は親友同士だから、太一が治を頼りにするのも理解はできる。
だが何かを決める際に、丈ではなく治や空を頼るなんて、年上としてのメンツが丸つぶれだ、あんまりではないか。
そして治は、そんな丈がないがしろにされていることに気づいているようで、丈が意見を出しやすいように話を振ってくれる。
突っ走り気味の太一に対して頭ごなしになってしまう丈を、太一は鬱陶しがっているから年上なのに扱いがかなり雑なのだ。
そんな太一に気づきつつも、真正面から言えば間違いなく拗ねるか意地を張るだろう、ということは容易に想像できた。
なので太一と丈の機嫌を損ねることなく円滑に物事を進めるには、みんなから意見を聞き出すという体で丈に振るという方法しか、治は思いつかなかった。
5年生に舐められ、気を遣われているなんて、丈としてはプライドも何もあったものではない。
自分は1番年上だからと必死に言い聞かせて、下級生達を導こうと頑張った。
しかしどれだけ頑張っても全てが空回りし、気がつけば子ども達を先導しているのは1つ下の5年生達。
4年生の2人も、最年少の3人も、そしてデジモン達も、みんな5年生3人の後をついていく。
……自分は、何のためにいるのだろうか。


それが、丈は悔しいのだ。
一目で頼りないと察して早々に丈を切り捨てた太一と、頼りなくも年上であるということで丈に気を遣っている治と空。
確かに丈には太一のような判断力
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