ちいさなしまのおはなし
ムゲンマウンテン
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まった。
空が悲鳴を上げながら、墜ちていったバードラモンの後を追って崖を滑り落ちる。
今度はアグモンがグレイモンに進化し、ユニモンと対峙したが翼があるユニモンは空へと逃げてしまった。
地上戦なら負けなしのオレンジ色の恐竜だが、これでは手も足も出ない。
更に進化した後の隙をつかれ、背後から思いっきり体当たりされてしまった。
もろに食らったグレイモンは、バランスを崩して岩肌に叩きつけられる。
崩れた岩壁と道の窪みに落ちた太一だったが、幸いお椀のように湾曲になっていたために、滑り落ちることはなかった。
『メガフレイム!!』
大きな火の塊を吐き出したグレイモンであったが、空を飛んでいるユニモンは嘲笑うかのように悠然と宙を舞いながら、それを避ける。
エネルギー弾を岩山に吐き出し、振り注がれる岩の雨。
グレイモンは太一を守るので精一杯だった。
空中戦ならやはりバードラモンの方に分がある。
叩き落されたバードラモンは、何とか空へと舞い戻ると、炎の雨をユニモンに向けて撃ちだしたのだが、進化を果たしたばかりのバードラモンと、それよりもずっと前に天馬として空を駈けていたユニモンとでは、経験の差は歴然としていた。
炎の雨を軽々と避けながらバードラモンに近づき、ユニモンは体当たりをする。
再び落とされたバードラモンは、あろうことか空の下に落ちていき、空を巻き込む形で更に下へと転がり落ちていってしまった。
何もできない丈とゴマモンは、助けに来てくれた仲間達をただ見ていることしかできない。
何て、無力なんだろう。
太一と治と空に上級生としてのお株を奪われ、光子郎のように何かに特化したわけでもなく、ミミのように空気を変える才能があるわけでもなく、ただ“ここ”にいるだけの6年生。
それは、それだけは嫌だったから、だからこそ丈は自分に何かできないかと思ってゴマモンと2人だけでこの山に登ったのに、結局ユニモン相手に逃げることしかできず、助けに来てくれた仲間達を助けることもできず、指をくわえて見ているだけ。
──いや、そんなことはない。
やると決めたら必ずやり遂げる、意志の強い子どもは諦めない。
何か、何かあるはずだ。
パートナーを進化させることが出来ない自分でも、何かやれることがあるはずだ。
この山に登ろうと決めた時のように、何か……。
不意に、ユニモンが視界を横切る。
丈の目に飛び込んできたのは、その背に半分ほど埋まった黒い歯車。
「……あれだ!」
丈は叫んだ。
大人しく、水を飲みに来ただけのはずのユニモンがおかしくなったのは、あの黒い歯車が突き刺さったすぐあとだ。
あれがユニモンをおかしくさせているんだ。
思えばデジモン達が賢くて大人しいと教えてくれたにも関わらず襲い掛か
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