ちいさなしまのおはなし
ムゲンマウンテン
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力を漂わせた黒い歯車は、丈とゴマモンなどには目もくれず、真っすぐユニモンの下へと急降下していった。
警戒しながら事態を見守っていたユニモンは、自分めがけて急降下してきた黒い歯車に反応することが出来ず、黒い歯車はあろうことかユニモンの背中に突き刺さった。
半分ほど埋まった歯車に、丈は自分のことのように表情を顰めたが、今はそれどころではない。
闇の気配をまとった歯車から漏れ出す邪悪なエネルギーに浸食されたユニモンの、ヘルメットの奥にある目が怪しく光った。
ゆっくりと、その首をもたげ、丈とゴマモンを視界に捕らえたユニモンは、地響きを鳴らしながら丈達に近づいてくる。
大きく口を開けると、水色のエネルギーが収束・放出された。
丈とゴマモンの頭上を通り過ぎて、岩壁に当たると派手な爆音を轟かせながら崩れていく。
丈は咄嗟に覆うようにゴマモンを庇った。
背後を見れば、自分達のすぐ後ろの道が抉れている。
あんなものを溜まったら一たまりもない、と丈は息を飲んだ後ゴマモンを抱えたまま走り出した。
ゴマモンはまだ進化が出来ない。何とかしてほしくとも、何とかしてやりたくとも、今の2人ではどうすることもできないのだ。
再びユニモンがエネルギー弾を撃ち出してきた。
走っている丈のすぐ上を狙って撃ち出されたエネルギー弾は、岩を抉って幾つもの破片が雨のように降り注がれる。
丈は、ゴマモンを抱えて慌てふためきながらも懸命に走る。
ゴマモンが降ろせと喚いているが、走っていることに夢中な丈は気づいていない。
早く逃げないと、ユニモンはすぐそこまで追いかけているのだ。
しかし運動不足に加え、不運体質の丈はとことんついていなかった。
再び放たれた技によって、丈達が走ってきた道が崩れてしまったのだ。
何とか瓦礫を乗り越えたものの、ユニモンは翼を悠然と羽ばたかせながら、丈とゴマモンの前を塞ぐように降り立つ。
行く道も来た道も塞がれた丈。逃げ場はない。
急速に集められたエネルギーの塊。眩さと絶体絶命という絶望に、丈とゴマモンは咄嗟に目を瞑る。
だが、ユニモンの技が2人を包み込むことはなかった。
2人の頭上を圧縮されたエネルギーが通り過ぎるのを感じ、恐る恐る目を開けると、そこにはユニモンに体当たりをして岩山に押しつぶしている火の鳥がいたのである。
「バ、バードラモン!?」
空のピヨモンが進化したデジモン、バードラモンだった。
その足には、太一とアグモン、そして空がしがみついていた。
「丈先輩!」
「助けに来たぜ!」
「太一!空くん!」
駈けつけようとしたと同時に、バードラモンがユニモンから離れると、お返しとばかりにエネルギー弾を放つ。
近距離から技を放たれたバードラモンは、まともに食らってしまい、岩肌を滑り落ちるように墜落していってし
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