ちいさなしまのおはなし
ムゲンマウンテン
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丈は気づいていない。
どれだけ兄達のように振る舞ったところで、しょせんは末っ子が行う真似っこ行動の延長戦に過ぎないことを。
丈は知らない。
そんな付け焼刃の“兄としての振る舞い”など、“本当の兄や姉”達ならすぐに見破ってしまうことを。
空とピヨモンがシャワー用のテントに入ったのを見送り、丈は夕飯を食べる際に椅子として使用していた手ごろな小岩に腰かけた。
『……ジョウ?』
「……ゴマモン、君は寝ておいで。疲れただろう?僕に付き合って夜更かしすることはないよ」
『そういうわけにはいかないよ』
そういってゴマモンは丈の足元に座り込む。
『……あのさ、ジョウ。もうちょっと肩の力、抜いてもいいんじゃないか?』
遮るものが何もない夜空は、見たことのない星座を描いた星が散りばめられている。
何となしにそれをぼんやりと眺めていた丈は、不意にゴマモンに話しかけられて弾けるように足元を見た。
『ジョウはさ、自分が年上だからーとか言ってみんなの面倒見ようとしてるみたいだけど、オイラから見ても慣れてないんだなって分かるよ。どうして慣れてないことを、無理やりやろうとするんだ?何を焦ってるんだ?』
「……慣れてないからやらないっていう選択肢は、僕には最初からないんだよ。6年生は僕しかいないんだ。全部が終わって無事に帰ってこれたとしたら、まず真っ先に叱られるのが僕なんだよ。6年生の貴方がついていながら、何をしていたのってね。理不尽だと思わないかい?」
『年上ってだけで?ジョウは何もしてないのに?ジョウが連れてきたわけじゃないのに?』
「そ。大人ってそういうもんなんだよ。しかも異世界に飛ばされました、なんてぜーったい信じてくれないさ……君たちは、現にこうしてここにいるのにね」
自嘲気味に笑いながら、丈は足元のゴマモンを抱き上げ、膝に乗せた。
海洋生物特有のぺったりとした毛に覆われた身体をぎこちなく撫でる。
ここは異世界であると治が推理してくれたお陰で、助けは求められないことは分かっていたから、そういった意味では余裕はあったのだ。
自分達の世界ではないから、ゴマモン達のことも受け入れることができた。
もしも治が言ってくれなかったら、丈は今でもここは自分達の世界の何処かにいて、助けを求めることを諦めていなかっただろう。
「何を焦っているのかっていうのは……僕達の旅は、きっとこれからもっと過酷なものになると思う。だって世界を救うなんて、そんな簡単なものじゃないだろう?この世界がどれだけ広いのか、世界を救うのにどれぐらいの時間がかかるのか、それは夏休み中に終わるのか……そういうことかな。僕達の都合なんかお構いなしなんて、あんまりじゃないか?」
『それで怒ってたのか、ジョウは?』
「怒ってたっていうより、愚
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