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自然地理ドラゴン
最終章 大魔王の夢 - 不毛の大地グレブド・ヘル -
第48話 どちらも野生動物(1)
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 気持ち悪いくらいの静寂に包まれた廊下を歩き、一行は大きなホール状の部屋へとたどり着いた。
 そこもやはり静かだったが、鼻の利くデュラは存在を感じ取っていた。入室前に一度振り返り合図をしていた。一同油断はない。

「よく来たな」

 シドウとティアの二人にとっては聞き覚えのある声がかかる。

 特徴的な銀髪を後ろだけ束ね、金属の鎧に赤いマントの、騎士風の青年。
 ダラム王国で一度戦っているエリファスだった。
 もちろん再登場をまったく想定していないわけではなかった。事前の打ち合わせで彼の戦闘能力については情報を一同共有できている。

「なんだ、思ったよりも人数が少ないな。ドラゴンがいるということは……お前の母親か」

 彼はそう言いながら、背負っていた大剣を手に持つ。
 シドウは声をかけた。

「こちらはアンデッドの実験阻止が目的です。中止さえしてもらえれば、俺らはあなたに危害は――」
「意味のないことを言うのはやめろ、ドラゴンの子よ。おれは大魔王様の親衛隊長になるはずだった男だ。今の役割は大魔王様の復活を妨げる者を誅殺すること。それ以外にない」

 銀髪の騎士はニヤリと笑った。

「ドラゴンが二匹いようとも、屋内で能力を発揮できるとは思えん」

 人型モンスター・アルテアの民とは思えないようなスピード。
 大剣を振りかざしつつ、まだ人間態のシドウへ飛ぶように突っ込んでくる。

「大魔王様復活の術はすでにほぼ完成している! あきらめろ!」

 彼の怪力が乗った大剣。まともに受けられる人間はおそらくこの世界に存在しない。

 唯一受けることができるとすれば、世界最強の生物と言われたドラゴン。
 デュラがシドウの前に出て、爪でその大剣を受けた。
 高い音が響く。

 そしてデュラはエリファスを弾き飛ばす。
 エリファスは太い柱に叩きつけられた……かのように見えた。
 が、彼は空中で体を回転させ、柱を蹴って別の柱へと飛び、またそこを蹴って違う角度からデュラに襲い掛かった。

 速い。

 ドラゴンの鱗が貫かれた。デュラの背中に大剣が刺さる。
 デュラが時間を稼いでいる間に変身していたシドウは、腕を振り、エリファスを叩き落しにかかった。
 しかし空振りした。彼は素早く剣を抜くと、また跳躍していた。

 今度は大きく高く飛んでおり、柱の上部、天井近くに作られていた凹みに止まる。
 シドウがそこを見上げると同時に、横でドンという音がした。
 慌てて目を戻すと、母デュラが倒れていた。
 かなり深く刺されてしまったのだろう。背中から血が噴水のように噴き出していた。

「母さん!」
「デュラ!」

 シドウと父ソラトの声が響く。
 戦闘開始後に少し離れていたソラトが寄
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