最終章 大魔王の夢 - 不毛の大地グレブド・ヘル -
第47話 高山気候
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大魔王の間≠ヨの最後の砦になろうと思われる、大きなホール状の部屋。
そこにはひざまずく数十名のローブ姿のアルテアの民がいた。
「時間がないなか、よくやってくれた」
エリファスが彼らをねぎらう。後ろだけ束ねられた銀髪が、部屋の壁の上部にある採光窓から入る光を受けて輝いた。
ひざまずく彼らは、アンデッドではなく生身である。
アルテアの民であり、かつ新魔王軍に賛同する同志であるが、特別な戦闘技能を持たないためアンデッド化が後回しにされていた。
「しかしエリファス様、不思議です。この城はこれだけ大きいのに崩れないんですね。柱を割っても揺れることすらありませんでした」
「大魔王様は幼少のころにはすでに考えられないほどの膨大な魔力をお持ちだったらしい。その魔力の結晶がこの城だ。亡くなられた今も遺骨はダヴィドレイが特殊な棺で保管している。魔力がまだ残っているのだろう」
ツルツルだった壁や柱には、縞模様にも見える切れ込みが多数入っている。足場として使えるように急いで細工を施したものである。エリファスの強みである跳躍力や素早さを生かすためだ。
一人のアルテアの民が顔を上げた。
「エリファス様、やはり生身では無理なのではないですか。乗り込んでくる敵は一人ではないでしょう」
ダヴィドレイの提案どおり、アンデッドになるべきだったのではないか。
そう指摘しているのだが、エリファスは一笑に付した。
「アルテアの民の戦士として戦わなければ意味がない。おれはアンデッドを代表して大魔王様復活のお助けをするために生まれたわけではないからな」
「……その大魔王様もアンデッドとして蘇る予定では?」
「蘇った大魔王様がなれと言うなら、おれは喜んでアンデッドになるさ」
エリファスは室内に点在する柱を触っていく。
「お前たちには理解できないかもしれないな。だがおれにとっては大事なことだ。ダヴィドレイにも口出しはさせん」
顔をあげていたアルテアの民も、それ以上の言葉は出さなかった。
そして部屋の外から、一人のアルテアの民が息を切らして部屋に入ってくる。
「大変です! アルテアの民ではないと思われる一行がこの地にやってきたようです! この城の方向へ向かっているとのこと。ドラゴンらしき生物を含みます!」
エリファスは「来たか」と言うと、柱に立てかけていた大剣に手をかけた。
「お前たちは集落のほうに避難しろ。敵はおそらく逃げる者や抵抗しない者には手を出さん」
今度は全員が顔をあげた。
「え? しかし」
「敵は世界最強の動物だ。それこそ生身のお前たちがいたところでどうにもならんさ」
大剣を軽々と背負うと、小さく笑った。
「おれが敵に勝って大魔王様が
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