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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
第二百八十話 テストの中もその十一

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「まあ人間顔じゃないけれど」
「美形の作家さんはね」
「もてる傾向があるね」
「そのことは事実ね」
「顔がよくてインテリでね」
 さらにだ。
「女性に対して紳士なら」
「もてるわね」
「どの人も性格悪くなかったみたいだし」
 芥川にしても太宰にしてもだ、三島はかなりの好人物だったらしいし志賀直哉も毅然とした性格だったらしい。藤村も人間性はそれ程だったという。
「性格もそうなら」
「余計によね」
「人気がね」
「出るわね」
「しかも太宰はね」
 僕は特にこの人のことを話した。
「実家凄かったからね」
「青森の大地主よね」
「代々政治家でもある」
 太宰の父親もお兄さんもだったし今でも政治家の人がいる。
「そうしたお家でね」
「お金もあって」
「太宰への仕送りも凄かったし」 
 それこそ遊んで暮らせる位だった。
「そんな家の人だったから」
「余計にもてたのね」
「うん、ケチでもなかったっていうし」
 気前のいい人で本なんかもどんどん人にあげていたらしい。
「だから余計にね」
「女の人にもてたのね」
「そうだったみたいだよ」
「スペック高い人だったのね」
「頭も抜群によくてね」
 芥川は一高今で言う東大をあまりにも成績が良くて無試験で入学出来た、卒業も次席だったという抜群の秀才だったけれど太宰も成績はよかった。ただここで僕が言う頭のよさは回転のことだ。
「しかも文才もあって」
「それじゃあね」
「もてない道理はね」
「ないわね」
「性格が悪くない限り」
 それこそだ。
「ないよ」
「そうよね」
「うん、ただね」
「ただ?」
「太宰ってそうした中にいたけれど」
 お金持ちの家にいて美男子で頭もよくて文才があって性格も悪くなかったけれどだ。
「自殺マニアだったんだよね」
「あれね」
「どういう訳か」
「鬱だったのかしら」
「そうかもね」 
 僕もそう思う、実は。
「太宰の自殺癖はね」
「鬱だったの」
「その資産家の家だってこともね」
 これは作品での独白でも出ている。
「生まれてすいませんとかね」
「言ってたわね」
「それで六男で」 
 このことも気にしていたみたいだ。
「何かとね」
「負い目を感じていたのね」
「それでね」
「鬱だったのね」
「その時マルクス主義も入っていて」
 太宰はこの思想は少し入りかけて結局入らなかった感じみたいだ。
「それで資産家は悪だってね」
「言ってたわね」
「その影響もあったみたいだね」
 共産主義自体には結局入らなかったけれどだ。
「元々鬱の気配もあったかも知れないし」
「それでなのね」
「そう、だからね」
 その為にだ。
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