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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
第二百八十話 テストの中もその九

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「そうだったと思うよ」
「色々な意味で早世が惜しまれるわね」
「当時そうした人多かったしね」
 僕は遠い目になって詩織さんに話した。
「結核で亡くなった人もね」
「そうそう、多いわよね」
 詩織さんもその通りだと僕に答えた。
「当時は」
「終戦までね」
「そうよね」
「太宰もそうだったしね」
 この人は自殺、心中が死因だけれど結核で人間失格を書いていた頃はかなり進行していてどちらにしても長くなかったみたいだ。
「宮沢賢治も梶井基次郎もね」
「あと石川啄木もよね」
「あと夏目漱石もそうだったし」
「森鴎外もよね」
「うん、堀辰雄もだったし」
「多いわね、結核になった人」
「それで助かる為に」 
 まさにその為にだ。
「肺の感染した部分を潰して」
「助かった人もいたの」
「そうだったんだ」
 当時はだ。
「もう死ぬ病気だったから」
「肺を潰してまでなのね」
「そうした病気だったんだよ」
「大変だったのね」
「作家じゃないけれど沖田総司も高杉晋作もだったね」
 幕末の有名なこの人達もだ。
「結核だったね」
「お二人共二十代で亡くなってるのよね」
「国民病だったから」
 文字通りにだ。
「実は芥川龍之介もそうだったし」
「あの人も結核だったの」
「そうなんだ」
 この人も自殺しているけれどだ。
「だからね」
「長くなかったのね」
「若くして自殺したけれど」
 僅か三十五歳でだ。
「そのことでも悩んでいたらしいよ」
「お母さんが狂人で自分もって思ってたって聞いたけれど」
「その他にも色々あって」
 不倫が訴えられることを心配していたとか作品で悩んでいたとか梅毒に感染してこのことに絶望していたとかも言われている。
「その中にね」
「結核の話もあったの」
「そうなんだ」
「それで自殺したの」
「まあ自殺する直前のあの人は」
 その二年前位からだ。
「作品凄いことになってたけれど」
「自殺する前ね」
「明らかにおかしかったから」 
 それまでとは作風が一変してだ。
「暗鬱なのと狂気を感じさせるのがね」
「あるのね」
「芥川の末期の作品ってこの二パターンなんだ」
 僕が読んだ作品を振り返る限りではだ。
「物凄く暗いか」
「おかしいか」
「どっちかでね」
「おかしいっていうと」
「どう見ても狂気に陥っていたよ」
 自殺する直前の芥川はだ。
「それでね」
「じゃあお母さんのこと以前に」
「もうね」
 既にだ。
「そうなっていたと思うよ」
「おかしくなっていたのね」
「うん」
 やはり僕が見る限りではだ。
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