この手で掴む“いつか”(マリア・カデンツァヴナ・イヴ誕生祭2020)
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、一日中遊園地を満喫した。
メリーゴーランドに乗って写真を撮り、コーヒーカップで目を回し、ジェットコースターで絶叫した。
ゴーカートではマリアがぶっちぎりで一番だったし、ミラーハウスではセレナの起点で何とか迷わずに抜け出す事が出来た。
シューティングではツェルトが標的を残らず撃ち落とし、お化け屋敷ではマリアもセレナもツェルトにベッタリだった。
レストランでは、セレナの口角に付いていたクリームをツェルトが指で拭うのを、マリアが羨ましそうな顔で見ていた。
なお、当のマリアもツェルトにあーんしてもらっていたので、お互い様である。
そして夕方……いよいよ三人は、観覧車に乗っていた。
夕陽色の空に照らされ、三人の顔もオレンジに染まる。
「楽しい一日もあっという間ね……もう夕方だなんて」
「こんなに遊んだのは、いつ以来でしょうか?」
「随分久しぶりな気がするわね……。ありがとう、ツェルト」
夕陽を眺めて笑い合う姉妹の横顔を見つめ、ツェルトは微笑む。
「その笑顔だけで、手を回した甲斐があるってもんさ。次にどこか行くなら、どこがいい?」
「わたし、次は海に行きたいです! 南の島の海で、お魚さんをたくさん見たいですッ!」
「南の島、ね……。難しいんじゃないかしら?」
「いや、セレナが行きたいっていうなら、海を跨ぐくらい……」
「それから、山にも上りたいですし、動物園にもいきたいですッ! ペンギンさんも見たいですし、あと温泉にも入ってみたいですし、あと、イチゴ狩りもやってみたいなぁって。それから──」
「いや多いなッ!?」
「セレナ? それはいくら何でも多すぎないかしらッ!?」
どんどん出てくるセレナの行きたい場所に、思わず止めに入るマリア。
すると、セレナは二人を見つめ、静かに笑った。
「本当は、三人一緒なら何処だっていいんです……。三人で一緒に遊べるなら、何だって絶対に楽しいですからッ!」
「セレナ……」
「……三人一緒なら、か……」
その言葉に、ツェルトは思わずセレナの頭を撫でる。
「俺もだよ、セレナ。俺も、三人一緒なら何処へだって行ける。いや、連れて行ってみせる。いつだって、俺達は一つだよ」
「ええ……だって、私たちは家族だもの」
マリアの腕が、二人を抱き寄せる。
「二人の手は、もう二度と離さないわ」
「俺もだよ、マリィ」
「わたしもです。ずっと、一緒ですからね?」
ツェルトの腕がセレナの背中に回される。
それ後三人は、観覧車が下に降りるまでの間、抱き合っていた。
ff
「セレナを置いて、一体何処へ?」
遊園地から帰った後、ツェルトはセレナを先に自宅へ降ろし、マリアと二人だけでドライブに出ていた。
「そろそろだ……着いたぞ」
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