第四部
知らぬが華 3
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《セリーヌ・エマ・ブレンダ》が十分に離れたことを確認した《龍宮斗浪》は暴走する《立華紫闇/たちばなしあん》の肉体と一対一の状況になった。
紫闇の魔晄防壁が形を変える。
「黒鋼流三羽鳥ノ一・【盾梟】ですか。通常の防壁より防御力が高い」
だがそれだけではない。
紫闇の背中と足から魔晄の粒子。
それはまるで翼のよう。
「今度は三羽鳥の【音隼】。高速移動に主眼を置くも、飛行すら可能とする」
空中を利用した三次元の立体機動は通常の魔術師に対処することが難しい。
「それに加えてやはり来ますか」
斗浪が注視する紫闇の右手は魔晄外装ごと金の煌めきを放っている。
三羽鳥ノ一・【禍孔雀】だ。
「黒鋼流練気術の基本にして奥義とされる三羽鳥はどれか一つしか使えなイ。それが黒鋼と白鋼の持っている共通の認識ネ」
紫闇の師である《黒鋼 焔》より体術と練氣術の才能が有る《白鋼水明》でも、その縛りは破れなかった。
そもそも白鋼と黒鋼には三つ同時どころか二つ同時に使う者すら皆無。
両一族の歴史で三羽鳥を三つ同時に完壁な状態で使うことが出来るのは《永遠レイア》と《エンド・プロヴィデンス》に鍛えられた焔のみ。
焔の両親と祖父の弥以覇もレイア達の修業を受けて二つまでは問題なく使えるが、三つ同時は不完全にしか発動できない。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「あれは……」
斗浪の前で紫闇が盾梟を変化。
「なるほど。【盾梟/丸魔】。ということは《佐々木青獅》に使った技ですね」
黒鋼流異形ノ二・【古今伝授】
黒鋼流練氣術における基本的な戦闘技術の結晶と紫闇の基礎能力を結集させたもの。
攻・防・速が揃った文句なしの一撃であり、特殊効果を除いた攻撃の威力なら、紫闇にとって最強の技と言って良いだろう。
(試してみますか)
斗浪は全速力で駆ける紫闇に対して特に反応することも無く棒立ちになっている。
だが獣の如く、本能のままに動く紫闇は先程の攻防で斗浪が持つ強さの片鱗を感じたので遠慮は無く、良心の呵責も感じない。
殺気も殺意も増し増しで古今伝授が命中すると、人間一人に対しては過剰すぎる爆発・爆縮が起こり、辺り一帯が黄金の魔晄粒子に包まれた。
「う〜ん……。技は良いんですけど私にダメージを与えるには足りませんね」
斗浪は自身を中心にして目に見えない、球状の何かに守られているように姿を現す。
金の魔晄粒子が不
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