舌戦、舌戦、また舌戦・3
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す」
「無論、存じ上げているとも」
「何故そのような形になったか、わかりますか?」
「何故って、簡単な話だろう。軍部が将来的に行政から独立しようとーー」
大臣がそう言うと、提督は呆れたように盛大な溜め息を漏らした。
「ダメだなぁ、全然ダメだ。まぁ……政治家のダニ共の陳腐な想像力じゃあそこが限界か」
「なっ……!?」
提督の豹変した態度に、思わず鼻白む大臣。
「ウチが独立独歩の独立採算形式にしたのはな……金がなかったからだ」
俺だって着任当初は、国から定期的に送られてくる運営資金で鎮守府を回していたんだぜ?だが、ウチはブルネイ。その立地から北方・太平洋中部海域方面の戦線以外の出入り口になっている。当然長距離を移動してきた艦隊の連中は休息と補給を求めて来るし、後の作戦行動にも影響が出かねんからNOとは言えん。すぐに備蓄資源は枯渇し、日常的な艦隊運用すら覚束なくなった。そこで俺は当時既に元帥だったジジィに直訴。
『国からの運営資金とか要らんから、俺に稼がせろ』ってな。
当然ながらお偉いさんからは反発の嵐だったらしい。だが、ジジィは独立採算形式の鎮守府のテストケースにするという事にして無理矢理GOサインを出してくれた。この時ばかりはあのジジィにも感謝したぜ。後は知っての通り、通常の遠征だけでなく企業からの護衛依頼なんかもこなして金を稼ぐようになり、運転資金と足りない資材を買うための資金とを稼ぎ出すのがウチのやり方となって現在に至るってワケさ。
「ふん、だがあの鹵獲した深海棲艦はーー」
「鹵獲ぅ?アレは沈没船を引き揚げただけですぜ?大臣。アレの撃沈はニライカナイ艦隊も確認済み、つまりアレは損傷艦ではなく沈没船。わかります?」
そう、軍として鹵獲した艦は確かに国の物かも知れない。だが、アレは海中に没した時点で艦としての機能を失っていた沈没船ーーつまりは鉄屑も同然だ。それを有効活用しようと、『たまたま』あの海域にいたウチの潜水艦の艦隊が回収しただけの事。船舶のサルベージに関しては国がその仕事を企業に発注しない限りは企業が仕事としてやるか、富豪だとかトレジャーハンターなんかが私費を投入してやる個人事業なんだよな。そこには何ら違法性も無く、寧ろ経済活動を邪魔するなんて自由を掲げる資本主義国家としてはあってはならない事だろう。
「む、むぅ」
かなりの暴論な気がするが、的確な反論が出来ずに黙り込む大臣。トドメを指すには頃合いだ、こっちの『ジョーカー』を切らせてもらおう。
「とは言え、内務省のアテにしていた定期預金口座を潰してしまったのも事実。その埋め合わせになるかは解りませんが……此方をどうぞ」
「…………これは?」
「読めば解りますよ」
大臣に手
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