【 結 】
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れはたぶん本当だと思う。僕は以前にもオイジェスと戦ったはずなのに、そのことがほとんど思い出せない。」
『彼』がそう付け加える。
「残念だな。本当に世話になった。お前はいい仲間だった。ありがとう。」
美鶴はモルガナに感謝を込めてそう告げた。
「まったく見上げた根性だ。猫にしておくのがもったいない。」真田も感服したように声をかける。
「だから猫じゃねーって。」
モルガナがそう返し、そしてみんなで笑った。
「いつかワガハイもお前らみたいな仲間を見つけるよ。一人でできることには限界があることがよくわかったからな。」
「ああ、頑張れ。」真田が力強く応えた。
「早く人間に戻れるといいね。」ゆかり が涙ぐんで言う。
「ありがとう。じゃあな。お前らも頑張れよ。」モルガナが手を上げる。
「じゃあ。」
真田も手を上げて別れの挨拶をすると、先頭をきって階段を降りていった。皆、その後に続いく。
そしてタルタロスの元のフロアに帰ってきた。
【みなさん聞こえますか?】すかさず通信が入った。
「風花?」
【ああ、良かった。今ちょっとの間、皆さんを見失ってしまっていて・・・通信もつながらないし、何かあったんじゃないかと・・・。】
「大丈夫だ。とりあえず全員無事にそろっている。ただちょっとおかしなことに・・・。」
美鶴は言いかけて眉をひそめた。階段を上って以降のことが思い出せない。何か大変なことがあったような気がするのだが、その記憶が空白だった。ただ、激しい戦闘の後のように極端な疲労感がある。体は傷だらけで服もボロボロだ。
「何か・・・忘れている気がするな。」
真田が自信無さそうに言った。
「そういえば、私らなんで階段を降りてきたんでしたっけ?」
ゆかり も不思議そうな顔をする。
【ともかく影時間がもう間もなく終わります。そろそろ引き上げてください。】
「そうですね。転送ポイントへ行きましょう。」
『彼』がみんなに声をかけ、タルタロスから引き上げることとなった。
結局、その日の探索について、メンバー4人に奇妙な記憶の欠落があるものの、それが何かはとうとうわからないままだった。
しかし美鶴には、何か心の中にささっていたトゲが抜けたような、不思議な爽快感が残った。
その夜、寮に戻る途中のこと、彼らは夜道を横切る一匹の黒い猫を見かけた。道の中央で猫は立ち止まり、こちらをじっと見つめる。
一瞬目が合った後、猫はそのまま闇の中に走り去っていった。
4人は何も言わずに、ただその姿を見送った。
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