【 結 】
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かかっているのだ。
焦燥感にかられた真田は、やけになって叫んだ。
「モルガナ! お前も化け猫ならバスとかに化けられないのか!」
「誰が化け猫だ! 無茶を言うな。狸じゃないんだぞ!!」
走り出しかけたモルガナが振り向いて言い返した。その拍子に足がもつれて転倒する。
「うわっ」
途端、モルガナの姿が一瞬で黒いワンボックスカーに転じた。
「え〜!!」
あまりのことに全員が声を張り上げる。
「え〜!!!!」
車になったモルガナも同様に驚きの声を上げている。
「・・・。や・・・やればできるじゃないか。」と真田が毒気を抜かれたように言うと
「ワガハイ、もうなんだかわからない。」とモルガナが情けない声を洩らした。
その時、轟音とともに背後の地面が崩れて陥没し始めた。
ゆっくり驚いている時間もない。
「ともかく乗り込め。」
真田のかけ声で、全員が車内に飛び込む。
「よし出発しろ。」
「誰か運転してくれ〜。」
真田に言われて、モルガナが情けない声で答えた。
「自力で走れないのか?」
真田は驚いたように訊き返す。
「たぶん、ワガハイがこんな姿になったってことは、世の中に『猫はバスに化けるとか』とかいう、おかしな認知でもあるんだろう。まあ・・・ワガハイ、猫じゃないけどな・・・。
でも車が一人で勝手に走るという認知はないらしくて、運転してもらえないと走れない。」
「ええい、面倒な。」
焦る真田を手で制して、「私が運転しよう。」と美鶴が言った。
「できるのか!?」
「免許は誕生日の後、すぐに取った。それまでも私有地内で練習していたから、それなりに運転はできる。」
「あきれたやつだな。」真田が目を見開く。
「バイクの免許も持ってるだろ。・・・その・・・私はこういうのが好きなんだ。」
少し顔を赤らめてそう言うと、美鶴は運転席を代わり、ハンドルを握った。
舗装もされていない夜道を、美鶴はラリーのように突っ走った。
大きく車体が揺れるたびに ゆかり の悲鳴が上がる。しかしスピードは緩めない。
一刻を争う状況なのは確かだが、美鶴は思い切り疾走することに開放感を感じていた。
こうして、車は瞬く間にもとの海岸にたどり着いた。
降り立ってみると、すぐ目の前にタルタロスから上ってきた階段が再び出現していた。
ゆかり は、目を回してよろよろと車外に出てきたが、階段を見て歓声を上げる。
「やった。これで帰れますね。」
みんな、ほっとした表情を浮かべてうなずく。
島の奥から、崩壊の地響きが激しさを増していく。
もう猶予はない。
「ここでお別れだ。ワガハイはメントスに戻る。幾月の言葉が本当なら、お前たちの事を覚えておくこともできないだろう。」
いつの間にか『猫もどき』の姿に戻ったモルガナが、みんなに向かって言った。
「そ
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