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ペルソナ3 ファタ・モルガーナの島(改定版)
【 結 】
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と顔を上げると、オイジュスの消えた後に、茫然と立ちつくす幾月が残っていた。
「幾月・・・。」
声をかけられて、幾月が美鶴に顔を向ける。
「君たち・・・悪かったね。僕は何かおかしな妄想に囚われていたようだ。今、こうしてみると、何故あれほど執着したのか自分でもよくわからないよ。」
夢から覚めたような口調で幾月が答えた。
「理事長。あなたはタチの悪い奴に利用されていただけだったんです。」
美鶴が思い余って声を上げた。
「そうか・・・でも、それも自分の意思をしっかり持っていなかったからだ。僕に、そこの猫くんほどの強さがあれば、抗うことだってできたはずだ。僕の弱さのせいで大変な迷惑をかけてしまった。本当に申し訳ないことをした。」
幾月が深々と頭を下げた。
「いえ、・・・もう、その言葉で充分です。おかげで私も心のわだかまりが解けました。・・・これでようやくあなたを許すことができます。」
美鶴は涙ぐみながらそう言ってうつむいた。
「ありがとう。でも残念ながら、君たちはこの出来事を記憶に留めておくことはできないんだよ。僕自身、今は仮そめの存在で、まもなく消えてしまうだろう。でも生きている君たちは、なんとか未来を勝ち取って欲しい。それを心から願っているよ。」
「任せてください。俺たちは何があっても絶対に負けません。」
真田が力強く答える。
それを聞いた幾月は、嬉しそうに微笑んだ。
「さあ。もう行った方がいい。この場所は、そろそろ消滅するはずだ。」
気が付けば、周囲が歪み、宮殿がその形を崩し始めていた。
オイジュスが固定していた世界が、再び崩壊しようとしている。
「まずい。時間が無い。行くぞ!」
モルガナが声をかけ、慌てて出口に向かう。
「では、行きます。」
『彼』はそういうと、立ち上がった。
みんなで幾月に頭を下げ、そしてモルガナを追ってホールの外へと向かう。
走り去っていく姿を見送った後、幾月の姿は静かに消えていった。

宮殿が崩れ去る。
モルガナの導きで、まわり道をせず真っすぐに外へ駆け抜けたため、かろうじて巻き込まれる前に脱出に成功した。
あの巨大な宮殿が、瞬く間に形を失っていく。しかしそれを眺めてはいられなかった。
崩壊は宮殿のみにとどまらず、島全体に広がり始めていた。
「休んでる暇はない。海岸まで走るぞ。」真田がみんなに声をかける。
それを聞いて ゆかり が息も絶え絶えに悲鳴を上げた。
「ええっ! そ、それは・・・さすがにキツイ!」
「む、無理もない。宮殿の探索に加えて激しい戦闘。そして建物からの脱出で、みんなもうバテ切っている。」
美鶴も息を乱しながらそう言った。
海岸まで走るには、あまりに距離があり過ぎた。どう考えても無理がある。
かといって、このままではパレスの崩壊に巻き込まれてしまう。命が
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