【 転 】
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パレスは消滅するはずだ。もしかしてその男、まだ死んでないんじゃないのか?」
モルガナが首を振りながら、逆に問いかけてきた。
「いや、それはない。死亡は確認されている。しかし・・・それならば、なぜ奴はここにいる!」
美鶴が厳しい表情で身を震わせた。
「そこに何か裏がありそうだな。お前たちと因縁がある奴ということは、お前たちがこのパレスに迷い込んできたことにも理由があるのかもしれない。」
モルガナが考え込む。
「考えたところで答えは出ないだろう。本人に確認するのが一番だ。そもそも奴が本当は何をしようとしていたのか、それもわからないままだしな。いい機会だ。きっちり吐かせてやろう。」
真田が不敵に両こぶしを合わせた。
「まあ、待て。オタカラが先だ。」モルガナが慌てて制する。
「それ、どこにあるのかわからないんでしょ。」ゆかり が言った。
「いや、今ははっきりと感じる。玉座の後ろにある扉。あの奥だ。奴に気づかれずにあの奥に入るルートを探そう。」
確認すると、確かに玉座の後ろに豪奢な両開きの扉が見える。
「まだるっこしいな。俺達が奴を問い詰めて注意を引き付ける。その間にお前がオタカラとやらを奪いに行け。」
真田が闘志を燃やして言った。とても止められる雰囲気ではない。
「荒っぽい作戦だなあ。怪盗はもっとイキにやるもんだぜ。」
モルガナが呆れたような声を出した。
「あいにく怪盗とやらになる気はない。障害があれば正面から叩き潰す。」
「そうだな。私も奴には問い質したいことが山ほどある。この期に及んで後回しにする気はない。」
普段冷静な美鶴も、怒りに震える声で同意した。父の仇であり、裏切り者でもある幾月を前にして、これ以上は心を抑えきれなかった。
「どうする?」といった表情で ゆかり が『彼』を見る。
「先輩達だけに突入させるわけにもいかないし・・・。」彼が肩をすくめて答えた。
「そうね。・・・まあそういうことだから、モルガナ。敵はこっちで引き付けるから、そっちはよろしく。」
ゆかり が申し訳なさそうにモルガナに言った。
「しかしなあ・・・」モルガナが渋る。
どうしても怪盗というスタイルに拘りがあるようだ。
その時、「ここはもういいから、お前達も侵入者を探しに行け。」と幾月の声が響いた。
シャドウ・アイギスたちは礼をすると、全員 部屋から出て行った。ホールに残っているのは幾月だけとなった。
「ふむ。うまいぞ。ヤツが一人になった。」モルガナが笑みを浮かべた。
「よし、その作戦で行こう。ワガハイが先行する。気をつけろよ。」
そう言い残すと、モルガナは物陰から素早く這い出して、幾月に見つからないよう身を潜めつつ進んでいく。
モルガナがある程度進んだところで、今度は真田が物陰から飛び出して幾月の正面に立った。取り残された3人が
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