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ペルソナ3 ファタ・モルガーナの島(改定版)
【 承 】
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た場所は屋敷内の厨房だった。そこからはもう宮殿の中だ。
外観の異様さの割に、中は意外にまともな洋風の作りだった。
しかし庭園と同様、建物の中にも、そこかしこに「影人間」の像が立っている。
「まったく悪趣味なことだ。」と真田が吐き捨てるように言った。
周りを見回した美鶴は、その中のひとつ、座り込んだポーズの像に気づき、その見覚えのある姿に目が釘付けになった。メイド服を着た女性であることが分かる。
「菊乃・・・。」
「また知っているやつか。」真田が尋ねてきた。
プレートを確かめると『斉川菊乃の像』と書かれている。
「うちのメイドだ。私とは幼いころから姉妹のように一緒に育った仲だ。」
美鶴はその像の、魂が抜けたような虚ろな表情をみて、顔に怒りを浮かばせた。
「どういう意味があるのかわからんが、この扱いは冒涜だ。許せないな。」
その言葉に全員が黙ってうなずき、そしてさらに奥へと足を進めた。
広い廊下を抜け、階段を上り、ところどころにあるホールを通り過ぎる。
屋敷内にもシャドウ・アイギスが巡回しているが、モルガナは巧にその隙をついて、身を隠しつつ着実に宮殿の奥へと案内していく。
モルガナには、風花と同じく周囲の状況を感知する力があるらしい。
途中、仕掛けのある扉や隠し通路なども多数あったが、すでに攻略済みだったらしくまったく留まる事が無い。その手際の良さは、本格的な忍者かスパイ、もしくはプロの窃盗犯を思わせた。
「まるでコソ泥になった気分だ。」と真田が言うと
「コソ泥はやめてくれ。どうせなら怪盗と言って欲しいな。」とモルガナが返す。
「ふん。怪盗は気取り過ぎだろう。せいぜいドロボウ猫だ。」
「猫じゃねー!」
すっかり定着してきた掛け合いに、ゆかり と『彼』は顔を見合わせてため息をついた。
時折、回避できないところにシャドウ・アイギスが立っていることもあったが、そういう時は総がかりでペルソナを呼び出し、周りに気づかれないよう速やかに処理した。

「お前ら、なかなかいい素質がある。見どころあるぜ。」
モルガナが豪華なイスにふんぞり返って上機嫌で言った。
どれだけ進んだのだろうか。ある小部屋に入り込んだところで一息つくこととなった。彼の話によると、この部屋は認知の歪みの影響で、敵に気づかれずに居ることができるらしい。
さすがに緊張の連続で、皆 一様に疲れた表情を浮かべてイスにもたれていた。
「ワガハイも前回ここまでは潜り込めた。もうすぐ目的地だ。この先に、大きなホールがあって、そこにこのパレスの主の玉座がある。」
「玉座・・・王様気取りというわけか・・・。いったいどんな人物なのだろうな。」
美鶴が考え込みながらつぶやいた。有り得ないと思いつつも、どうしてもある人物の顔が浮かんでくる。
「だ〜が、そいつと対決する前に
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