【 承 】
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気持ち悪いものを飾ってるんでしょうね。」
言われて皆が像を見上げる。
「これは、なんというか、まるで・・・。」と美鶴と言いかけると、「ああ・・・影人間・・・という感じだな。」と真田が続けた。
「影人間ってなんだ?」モルガナが訊いてくる。
「人の精神が暴走し、シャドウとなって体から抜け出したあとの抜け殻だ。世間では『無気力症』とも言われている。ともかく生きる気力というものを全て失った状態で、放っておけばそのまま死んでしまう。ここ最近、急激に増えてきているが、その原因がタルタロスとシャドウにあることは間違いない。」と美鶴が説明した。
「なるほど、これもタルタロスとシャドウがらみというわけか。」モルガナがうなずく。
その後、移動しながら改めて像を確認すると、座り込んだり、何かにもたれかかったりと、姿勢こそ違うものの、その表情はどれも影人間のものだった。
「まともな人間は一人もいないのに、影人間の像はそこら中にある。このパレスの主の歪みが象徴されているようだな。」
モルガナが皆にそう言った。
やがてモルガナは井戸までたどり着くと、すかさずそのすぐ横にある像の台座探った。すると台座の一部がずれて、抜け穴が出現した。
「ワガハイの見つけた城内への抜け穴だ。どうだ、すごいだろ。」
モルガナは得意げに宣言した・・・が、誰も反応しない。
不思議に思って振り向くと、全員がその像を呆然と見上げていた。他の像と同じく影人間の像だ。ただ特徴があるとすれば、その服装は警察官のものだった。
「おい、どうした?」
「これ・・・黒沢さんなんじゃ・・・。」
ゆかり が声を震わせて言った。
「間違いないよ、台座にはまっているプレートに『黒沢巡査の像』って書いてある。」
『彼』が携帯の明かりで照らして見せる。
「知り合いなのか?」
モルガナが驚いたように言った。
「我々の活動の協力者だ。何故、こんなところにあの人の像が・・・。」
美鶴も驚きを隠せないまま、声を漏らした。
「もしかして、ここにある像は、みんな実在する誰かなのか?」
真田の発言に全員がハッとした。
「そんな・・・。」
「まさか・・・。」
その場に重たい空気が流れる。
「プレートに名前が入っているということは、そういうことなんでしょうね。」
『彼』が眉をひそめて、ためらいがちにそう言った。
「このパレスがお前らに関係してる可能性がさらに増したな。それもこれも、パレスの主に会えばわかることだろう。今はともかく先を急ごう。」
モルガナはそう声をかけると、真っ先に抜け穴に潜りこんで行った。
中は天井が低く、四つん這いで進まなければならない。真田から順に穴に入って、モルガナを追う。今度は ゆかり もあきらめたようにため息をついただけで、何も言わずに最後尾でついてきた。
穴を抜けて出
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