第3章(原作3巻) 可能性の道標(アウトレンジ)
第23弾 闇夜の誘い(クロス・レンジ)
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俺は、ダクトの中へと忍び込む。
そして、屋敷の廊下へと顔を出す。
人の気配は……無いな。
確信した俺は、今度は天井裏へと忍び込む。
「さーてと、こっからは……見取りのお仕事だよ」
口角を吊り上げ不敵な笑みを浮かべる俺。
……冷静に考えるとヤバい奴だな、今の俺。
そんな思考を遮った俺は、館内を隈なく探る。
ここがこうで……こうなると。で、カメラや階段の位置はこう……と。
見取り図をその場で書き終えた俺は、来た道を戻り紅鳴館の外に出る。
「……っと。理子に事後報告だけして行くか」
そう呟いた俺は、携帯電話を取り出しながら横浜駅へ向けて歩き始める。
「理子の奴の番号は……と、あったあった」
理子の番号を見つけた俺は理子に電話をかける。
すると3コール後、応答する。
『やっほーシュー君! どうかしたのかな? あ、もしかして理子へのラブコール?』
「んな訳あるか。調査終了の報告だ」
『ちぇ〜、そっちの方か』
そっちじゃなきゃどっちがあるんだよ……。
『それで、どうだった?』
「館内は至ってシンプルな西洋建築だったよ。一部を除いて」
『一部を除いて?』
先程とは打って変わり、ハイジャックの時と同じシリアスな口調へと変わった理子がそう尋ねてくる。
「ああ、地下室だけ妙にハイテクだった。なんせ、暗証番号機能付きの自動扉を採用してるんだぜ?」
『つまりは???』
「保管庫も兼ねた部屋ってことさ」
俺は推理による結論を理子に告げる。
『内部情報は?』
「生憎だが……今日はそこに入るための道具を持ってなくてな。その代わりに、部屋の内部情報のスキャンはした。今日帰った後、纏め直して送るつもりだが……。それで足りるか?」
『もちろん。アタシを誰だと思ってるの?』
「おっと、そうでしたね。『武偵殺し』さん」
やや皮肉まじりでそう返す俺。
「じゃあ、そういうことだから」
『あ、この後マッキーとデートなんだっけ?』
電話を切ろうとしたら、普段のトーンに戻った理子がそんなことを言ってきた。
……ん、ちょっと待て。
「お前何で出かけることを知ってる。後言っとくが、デートじゃないぞ」
『理子はなんでもお見通しだよー』
こいつ……。
「はぁ……もうなんでもいいや。ところで、今思い出したんだが……報酬の件を聞いてなかったんだが」
「おっと、そうだったね」と呟いた後、理子は切り出す。
『じゃあ、理子の知るシュー君の親しい人に逢わせたげる』
「……誰だよそれ」
『???従姉弟、って言えばわかるかな?』
「……ッ?!」
理子の言葉に、思わず携帯を落としそうになる
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