ちいさなしまのおはなし
生真面目くんの憂鬱
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「何だよ、俺のせいみたいに言うなよ」
「あ、ごめん。そんなつもりじゃなかったんだ」
「…………私も」
『ヒカリ?』
「私も……同じ夢、見たの」
『ヒカリも?』
『えー?3人とも同じ夢?何かいいなー。俺もダイスケと同じ夢、見たかったなー』
ボクもーアタシもーってパタモンとプロットモンがブイモンに賛同しながら、それぞれのパートナーに引っ付くから、最終的にはじゃれ合って太一にこらーって怒られる羽目になった。
どれぐらいの時間が経っただろうか。
太陽はいつの間にか傾き始めており、気温がますます下がってきている。
進むにつれて肌寒い風が、剥き出しになっている大輔達の腕や顔を撫でつける。
はっくしょん、ってヒカリは盛大なくしゃみをして、肩を縮こませながら、擦り合わせた両手に息を吹きかける。
子ども達は、いつの間にか寒いエリアに足を踏み入れていた。
「暑い砂漠地帯を抜けたと思ったら、今度は寒冷地帯か……」
「うう、寒いわね……大輔達が風邪引かないように注意しないと……」
体温と気温差から白く染まった吐息を漏らしながら、治は辺りを見渡した。
キャンプ場は涼しいという天気予報から、念のため長袖を着ていた治はともかく、ノンスリーブの空は忙しなく腕を擦って体温を逃すまいとしている。
自分達だけならまだしも、身体の小さい2年生達も一緒にいるのだ。
もしも風邪など引いてしまえば、風邪薬など持っていないから処方してやることはできないのだ。
「……まあ、寒いのも悪かないよなぁ」
2人の話を聞いていなかったのか、太一が頓珍漢なことを言い出したので、治と空は咎めるような眼差しを太一に向けたが、続く太一の言葉で態度を改めた。
「だーって雪が降ったら雪合戦できるじゃん!」
「雪合戦!いいですね!」
「寒いだけなのは憂鬱ですが、雪が降るとなれば話は別ですね」
ミミと光子郎も賛同する。
デジモン達は雪合戦を知らないらしく、何それって子ども達に聞いてくる。
食べ物かって尋ねてきたテントモンに苦笑しながらも、光子郎は雪合戦が何たるかを教えてやった。
食べ物ではないと聞いた途端に興味を無くしたテントモン、アグモンと同じぐらいには食い意地が張っているから、呆れるしかない。
寒いことを懸念していた治と空だったが、やはりまだ小学5年生。
しっかりしているとはいえ子どもである、太一の前向きな考えを聞いたら少しポジティブになれたのか久しぶりに勝負でもしよう、ってはしゃいでいた。
しかし丈は、そんな気分になれなかった。
はしゃいでいる年下達を見て、困惑の溜息を吐く。
どうしたの、って寒くなるにつれて元気を取り戻していたゴマモンが、項垂れている丈に話しかけた。
「全く、気楽なもんだよ
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