ちいさなしまのおはなし
生真面目くんの憂鬱
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えるほど、深みにはまる。
どうしよう、どうしよう。うんうん唸り、ふと空を見上げる。
満月は、既にてっぺんまで登っていた。
今何時か分からないが、確実にもう寝る時間のはずだ。
視線を下級生達に戻すと、その向こうで最年少の3人が舟を漕いでいるし、そのパートナー達も目をとろとろとさせていているのが見えた。
なので、
「もう夜だし、大輔くん達も眠そうだ。続きは明日にしないかい?」
丈にそう言われた太一達は、丈の視線の先を辿って振り返る。
さっきまで元気にはしゃいでいたはずの最年少とそのパートナーデジモン達は、もう完全に寝る体勢に入っていた。
「朝になってからもう一回話し合おう。今はとにかく寝るんだ。身体を休めなきゃ。僕らはゲンナイさんに頼まれた、この世界を救うっていう使命があるんだ。いざって時に戦えないのはシャレにならないよ」
「……そうね、丈先輩の言う通りだわ。今日はいったん休みましょう」
「ヒカリちゃん、先にテントに連れてっちゃいますね」
「では僕は大輔くんと賢くんを」
「そうね、2人ともお願い。シャワーは明日の朝浴びせてあげましょ」
眠そうな下級生とそのパートナーを連れて、4年生2人と空はテントに入っていく。
まずはほっと一息ついた。
よかった、何とか誤魔化せた。
優柔不断で、正解が2つ以上の問題にぶち当たると思考が停止してしまう丈にとって、太一と治の相反する解答は、どう結論付けていいのか分からなかった。
どっちも正しいし、どちらも間違っている。
だから丈は、空達を見送ってから太一と治に謝罪した。
「ごめんね、先延ばしにするようなこと言って。でもどちらにしても、リスクはあるだろう?僕はどちらかを選ぶのに時間がかかるから、君達が寝てる間にちゃんと考えとくよ。みんなを危険な目に合わせるわけにはいかないからね」
「いえ、こちらこそ急かすようなことをしてすみませんでした」
「おう。まあじっくり考えてくれ。俺も治も、意見を曲げるつもりはねぇし、丈がどっち選んだって文句は言わねぇから」
俺らも寝ようぜ、って太一とアグモン、治とガブモンもテントに引っ込んでいく。
入れ違いで、空とピヨモンがタオルとパジャマを持って出てきた。
「これからお風呂かい?」
「はい。ミミちゃんも、疲れたから明日にするって言ってベッドに入っちゃったんですけど、私はまだ眠くないので、シャワーを浴びてからにします。丈先輩も、もう寝ますか?」
さきほど太一達に伝えたことを、そのまま空に伝えると、分かりましたって微笑んで、その後少し困ったような表情を見せた。
「一晩中考え込むのだけはやめてくださいね?ちゃんと身体を休めろって言ったのは丈先輩なんですから……」
『大丈夫、大丈夫!オイラがちゃーんと見ててやるって!』
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