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レーヴァティン
第百六十五話 視察その十一
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「構わない」
「服もじゃな」
「住む場所と同じだ」
 そちらと、というのだ。
「やはりな」
「着れたらじゃな」
「夏は涼しくな」
「冬は暖かいとじゃな」
「それでいい」
「贅沢とは無縁じゃのう」
「贅沢とは何か」
 英雄はこのことについて具体的に述べた。
「余裕のある生活だとだ」
「考えてるんじゃな」
「奢侈ではないとな」
「考えているんか」
「俺はな、そして豪奢な御殿やいい服はな」
「興味がないんじゃな」
「料理も然りだ、俺が美味いと思えば」
 そうであればというのだ。
「食材は安いものでもな」
「いいんじゃな」
「豆腐にしろな」
「そうなんじゃな」
「別に南禅寺が仕入れている豆腐でなくてもな」
 最高級であるとされているそれでなくともというのだ、英雄は摂津の豆腐を食べつつさらに話した。
「構わない」
「並のものでもか」
「全くだ」
 それこそというのだ。
「構わない」
「基本的に贅沢に興味ないんじゃな」
「満足出来ればな」 
 高価なものを食べたりそうしたものに囲まれずともというのだ。
「いい、ただ酒は飲むしだ」
「そっちも高い安いは関係ないのう」
「だが量は楽しむ」
「食うにしてもじゃな」
「そして女もだ」
 こちらもというのだ。
「俺がいいと思った女達とじゃ」
「楽しむんじゃな」
「そうしている」
「そうなんじゃな」
「ただ人の女はな」
「手を出さんのう」
「そうした相手に手を出す様な外道なことはしない」
 決してというのだ。
「そうしたことをする奴の末路も見てきたしな」
「その末路はどうだったんだい?」
「人の彼氏を取った女だったが」
 その輩はとだ、英雄は桜子に話した。
「その取った男は顔はよかったが」
「顔だけだったんだね」
「浮気者でギャンブル好きの酒好きで暴力も振るった」
「理想的な屑だったんだね」
「それで別れて人の彼氏を取ったことが家族にも親戚にも友人にも知られ」
「全員に縁を切られたんだね」
「そうなった」
 まさにというのだ。
「そして今は何処にいるかわからない」
「自動自得だね」
「人の相手に手を出すとそうなる」
 英雄は極めて冷淡な声で述べた。
「悪事の末路はな」
「まあそうなるね」
「悪党が勝って終わるのはそうした漫画位だ」
 成人漫画によくある展開だ、もっともこうした漫画の展開はファンタジー小説より遥かに有り得ないものであるのが常だ。
「実際はな」
「そんなことする奴は嫌われるしね」
「そして悪事はな」
「必ず報いが待っているね」
「そうだ、それでだ」
「あんたもだね」
「それはしない」
 女は楽しんでもというのだ。
「決してな」
「そうして楽しんでいくね」
「女もな」

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