第六十三話 悪霊の滝
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は頭を捻らせた。
(場違いな工芸品を採る? どういう意味だろう)
興味を持ったアニエスは着いて行って見ようと思った。
「私も着いて行って良い?」
「別に良いわよ」
「ありがとう」
こうして、アニエスはアワサに着いて行く事になった。
……
双月の光は、まるで街頭の様に二人を照らす。
月光を頼りに、アワサは猛烈な水飛沫を上げる滝つぼへと足を進めた。
「それ以上は、進めないんじゃないの?」
「大丈夫よ」
アワサは気にせず進み続ける。
ついに二人は、大瀑布と目と鼻の先までたどり着いた。
「うう、びしょびしょだ」
アニエスのTシャツ風の肌着は、水飛沫でびしょびしょになり下着まで濡れてしまった。
一方のアワサは、半裸に近い民族衣装と腰まで伸びた三つ編みが濡れても気にしなかった。
「こっちよ」
アワサは、行く手を阻む切り立った崖まで進んだ。
「こんな所に洞窟が」
そう、何もないと思われた崖に、大人が5人肩を組んで入れる程度の洞穴が口を開けていた。
アワサは何も言わず、洞穴の中に入っていった。
アニエスも後を追うと、洞窟内は明るく地面や天井のあちこちから剥き出しになった光る鉱石が、照明代わりになっていた。
(深夜なのに、洞窟の中は明るいとはどういう事だろう?)
などと、不思議に思いながら、アニエスはアワサの後に続いた。
滝の裏側、真上が大河という事もあってか、洞窟内のあちこちで水滴が落ちていた。
奥に進むと、巨大な空洞が広がっていて、かつては金属だった錆びた鉄屑や、完全に錆び付いた金属製の馬車の様な物などがそこら中に転がっていた。
「ここは……」
「私達が、悪霊の滝に逃げて来た時に偶然見つけたのよ。生き残るのに必死だった私達は、何か武器になりそうな物を探して、こういった雷鳴の杖を見つけたの」
そう言ってアワサは、愛用のウィンチェスターM1866をアニエスに見せた。
「それじゃ、私は使えそうな物がないか調べるからアンタは見物でもしてて」
「……私も見ても良い?」
「ん〜、いいよ」
「ありがとう」
アニエスもアワサに習って、使えそうな物を探し始めた。
……2時間ほど経っただろうか、アニエスは使えそうな場違いな工芸品を探した。
収穫は、弾の無いブローニングM2重機関銃が1丁と、M2を車載していた軍用車両だった。
「え〜っと、これは……コマンド隊の座学で習ったことがあったな、確か『クルマ』だっけ? あ〜、でもあちこち錆びついてる」
アニエスがあちこち調べているとアワサが声を掛けてきた。
「それは『鉄の牛』よ。動か
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