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水の国の王は転生者
第六十三話 悪霊の滝
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ならならない」

「大精霊?」

「左様、我々と獣達の和を望む、良き精霊です」

「良き精霊……どうぞ続けて下さい」

「ですが、悪しき精霊が獣達を守護している以上、彼らは我々の言葉に耳を貸さないでしょう。ですが、あなた方の中に精霊を倒すことが出来る者が居る、と大精霊が言っていました。悪しき精霊を破れば獣達も耳を貸すようになるでしょう、是非とも我々に力を貸していただきたい」

 デガナヴィダは胡坐をかいた状態で深々と頭を下げた。

「話は分かりました。重大な事柄ですので即答は出来ません。今度来るときは返事を持って来ます」

「……」

 デヴィットらは一礼して部屋を出て、再びダンマリを決め込んだデガナヴィダは、頭を下げ二人を見送った。

「デガナヴィダがあんなに喋るなんて初めてみたわ」

 二人を伴って玄関先まで来たアワサは、率直な感想を述べた。

「そんなに喋らないのか?」

「丸一日何も喋らなかった事もあったわ」

「それ程か……」

「まあ、そんな事より……私達を一緒に戦うの?」

「さっきも言ったが、一度本部に報告する。戦うか戦わないかの判断は上がする」

「なにそれ、そんなの自分で決めればいいじゃない」

「そういう訳には行かない。これが宮仕えという奴だ」

「面倒なのね、そのミヤヅカエって。ま、あんた達がここを去っても私達だけで戦い続けるわ」

 家を出ると、アワサは『じゃあね』と手を振り何処かへ行ってしまった。

 デガナヴィダの家の前に残されたデヴィットとジャック。

「……フォート・ノワールに連絡しよう」

「了解」

 デヴィットは、デガナヴィダの言った事をウォーター・ボールで転送した。
 フォート・ノワールからの返信は3時間後に返って来た。

 内容は、デガナヴィダら原住民との同盟を承諾した事と、同盟に関しての文官と増援を送る旨が書かれていた。






                      ☆        ☆        ☆






 アニエスが目を覚ますと、見たことの無い建物の中に居た。
 室内は獣の皮がシーツ代わりに布かれ、アニエスは負傷者と一緒に雑魚寝で寝かされていた。

「ここは……」

「ミス・ミラン起きたのね」

「え、あ?」

 声のした方へ顔を向けると、そこには行方不明になったはずのエレオノールが居た。

「ミス・ヴァリエール! っ痛!?」

「無理をしないで、ミス・ミラン」

「それよりも、無事だったんですね……良かった」

「ここの人たちに助けて貰ったのよ」

「ここの人?」

「獣達と戦っている人達よ、私達も襲われて、寸での所で助け
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