第六幕その一
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第六幕 雨の時も
この日は雨でした、休日でしたが生憎の雨で先生はお部屋の窓から外を見ながらこんなことを言いました。
「秋の長雨だね」
「よく言うよね」
王子が先生に応えます、丁度三時なので皆でティータイムを楽しんでいます。ミルクティーにスコーン、バウンドケーキにフルーツに生クリームのサンドイッチという今回はオーソドックスなイギリスのティ―セットです。
そのセットを食べつつです、王子は先生に言いました。
「日本では」
「そうだね」
「実際秋はよく降るしね」
「六月とね」
「六月は梅雨というしね」
「その季節も雨が多いよ」
「日本は全体的に雨が多い国かな」
王子はミルクティーを飲みつつ言いました。
「全体的に」
「そう言えるね、ただね」
「ただ?」
「イギリスよりは」
先生の祖国よりとはというのです。
「少ないから」
「ああ、イギリスはね」
「特に多いよね」
「霧も深いしね」
「霧の都ロンドンとも言うね」
「そうだよね」
「雨と霧は」
この二つはというのです。
「イギリスの象徴だよ」
「本当にそうだね」
「そのイギリスと比べたら」
流石にというのです。
「少ないかな」
「そうかもね」
「まあイギリスについては」
トミーも言ってきました、勿論この人もティ―セットを楽しんでいます。このことは動物の皆も同じです。
「雨は付きものですね」
「ステッキじゃなくて傘を持つ位だからね」
「そうですよね」
「あの雨も懐かしいね」
「今では」
「やれやれと思う時もあったけれど」
イギリスの雨の多さはというのです。
「それでもね」
「今はですね」
「懐かしいね」
「イギリスを離れると」
「そう思えるよ、霧も」
こちらもというのです。
「懐かしいよ」
「あの深い霧も」
「とんでもなく深い霧だけれどね」
「スモッグはなくなりましたしね」
「今はね」
実際にというのです。
「そうなったし」
「純粋な霧で」
「あの霧は」
今ではというのです。
「いい霧だよね」
「そうだよね」
「手を伸ばしても」
その手をというのです。
「指が見えなくなる位でね」
「凄いですよね」
「あんな霧はそうそうないよ」
「車に乗ってる時は危ないですが」
「サラも言ってるね」
尚先生は車の運転は出来ないです、オートバイも乗れないのでいつも老馬に乗って移動しているのです。
「そうね」
「ロンドンに行かれた時は」
「本当に凄い霧だよ」
ロンドンの霧はというのです。
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