第86話『スタンプラリー』
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伸太郎が気にするのも無理はない。何せ昨日、消える通路という滅多なことが起こってしまっているのだ。ふとした拍子に範囲外に出てしまえば、それは遭難と相違ない。
「まぁ大丈夫だろ。気にすんなって」
「お前が一番の心配の種だよ…」
相変わらず楽観的な大地に、晴登は嘆息する。今日は絶対に大地を先頭にはしないでおこう。
「そしてスタンプを100個ないし、一番多く集めたチームには、優勝賞品を用意しています。皆さん、ぜひ奮って頑張ってください」
「「「おおぉぉぉぉ!!!!!」」」
優勝賞品と聞いた瞬間、生徒たちのボルテージがいきなり跳ね上がった。これは確かにテンションが上がる。
しかし今の言い方だと、100個集めれば即優勝ということになる。仮に、多くのチームがスタンプを100個集めてしまったらどうするのだろうか。それとも、"そうならないための工夫"がされているというのか。
「何だかんだ、普通に面白そうじゃん」
「そうですね。普通のスタンプラリーよりは刺激がありそうです」
莉奈と優菜がワクワクしながら言った。確かに、対戦形式というのは男子的にとても心が躍る。これは優勝目指して頑張るしかない。
「何て言ったって、このチームには成績トップ3が揃ってる!」
「だからどうした」
「あまり関係ないと思いますよ」
「俺もそう思う」
「あれぇ!?」
優勝を確信して生まれたやる気が、その3人に一瞬で削がれる。いや、あまり関係ないというのは事実だけども。それでも、少しくらいは調子に乗ってもいいじゃないか。
「これで説明は終わりです。今は8時50分ですので、10分後にスタートします。スタンプラリーの用紙を受け取ったチームから、好きな場所に移動してください。もちろんスタートするまで、見つけてもスタンプを押してはいけませんよ?」
「「「はーい!」」」
なるほど、開始場所は統一しないのか。統一してしまったら、皆が同じ所に行くから勝負にならないしね。
「じゃあ俺が用紙貰ってくるよ」
「お、ありがと大地。・・・それじゃあ、どこからスタートしようか?」
「できれば、スタンプを見つけている状態で開始したいですね」
「でも、すたんぷってどこにあるの?」
「それは探すしかないだろうよ。この学校のことだから、ただ置いてあるだけってことはないだろうな」
「隠されてたりするのかな?」
「え〜めんどくさいな〜」
各々が思ったことを口に出す。いくら制限時間が8時間もあるとはいえ、100個もスタンプがあるのだ。隠されている可能性も視野に入れておいた方がいいだろう。
おっと、周りのチームが動き始めた。とりあえず、まず
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