第86話『スタンプラリー』
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「だーかーらー、晴登の考えてることなんてお見通しなの」
「ぐっ…」
何か言い返してやりたいところだが、図星すぎてぐうの音も出ない。ふざけてるようで、時々察しが良いのが莉奈のずるい所だ。
しかし、中々大地が見つからない。組んでくれると思っていたが、自意識過剰だっただろうか。それだと少し恥ずかしいのだが・・・
「お、いたいた。晴登ー」
「あ、大地。探してたんだよ」
「そうだと思ったよ。悪いな、連れて来るのに手間取っちまって」
「連れて来る…?」
ようやく出会えた大地が、何やら意味深な一言を放つ。晴登が疑問に思っていると、大地の背後から彼女は現れた。
「どうも、またお会いしましたね」
「戸部さん!?」
にっこりと微笑む優菜がそこにはいた。
*
「それでは、今からスタンプラリーの説明を始めます」
集合時間が過ぎ、皆がグループに分かれて整列した前方で山本が説明を始めた。
それにしても驚いた。まさか優菜とまで組むことになるとは。昨日もそうだが、最近大地と優菜の仲がやけに良い気がする。水着を買いに行った日、2人で帰っている時に何かあったのだろうか。まぁ、考えてもわからないのだが。
…あ、そうなると班員の男子には申し訳ないことしたな。後で謝っておこう。何となく。
「ルールは簡単です。この山の中にあるスタンプを多く集めたチームの優勝です」
「……ん?」
頭を切り替えて、説明を聞こうと思った晴登は、早くも疑問符を浮かべた。なぜなら、知っているスタンプラリーのルールと大きく違っているからだ。
普通スタンプラリーでは、スタンプを全部集めるのが前提のはずだろう。それなのに、多く集めるだとか、優勝だとか、そんなルールは聞いたことがない。何だか嫌な予感がする。
「山の中には、合計100個のスタンプを用意しています。それを制限時間内に、できるだけ集めるのです」
「ひゃっ…100!?」
ほら出た。だが何かあるとわかっていても、やはり驚いてしまう。100個のスタンプラリーとか、全部集めさせる気があるのだろうか。途中で飽きてしまいそうだ。
「制限時間はこの後9時から17時までの8時間。昼食は12時からこの場所で配布しますので、各チーム取りに来てください。もちろん、昼食抜きで探すのも1つの作戦ですよ」
そしてとんでもない制限時間の長さだ。普通、昼を跨ぐだろうか。やっぱりおかしい、この学校の行事は。
「範囲はこの山の麓から頂上まで全てです。範囲外との境界は目立つようにテープで示しているので、滅多なことがなければ外に出る心配はありません」
「ホントに大丈夫だろうな…」
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