ちいさなしまのおはなし
おもちゃの町
[14/16]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
シンググローブがはめられている。
頭に花が咲いていた可愛らしい姿が、まさかのサボテンに進化をして、ミミは二重の意味で唖然となった。
もんざえモンと同じぐらいの大きさになったパルモン、基トゲモンがのっしのっしと歩いていく。
相手は完全体だ。見かけによらず強いと言っていたのはパルモンなのに、勝てるのだろうか。
……いや、勝てる勝てないの問題ではない。
やるしかないのだ、トゲモンしか、残っていないのだ。
「トゲモン、頑張って……!」
デジヴァイスを握りしめ、ミミは必死に祈る。
光が、強くなった気がした。
『いくぞぉー!』
グローブをばしばしと合わせ、やる気は十分だった。
先手を放ったのは、トゲモンだった。
雄たけびを上げながら殴りつけると、もんざえモンがたまらず仰け反る。
手ごたえはあったが、もんざえモンも負けてはいない。
柔らかくとも完全体のものであるパンチを、トゲモンにお返ししてやった。
そこから怒涛のラッシュである。
トゲモンがパンチをすれば、もんざえモンも拳を叩きつける。
まさに殴り合いだ。見た目はものすごく間抜けだけれども。
いつまでも続く殴り合いに飽きたのか、埒が明かないと悟ったのか、もんざえモンはビームを放とうと目にエネルギーを溜め始める。
それを、トゲモンが見逃すはずがない。
隙を見せたもんざえモンの顎にアッパーを決めると、身体中に生えているとげをもんざえモンに向かって飛ばしてやった。
ぬいぐるみの身体とはいえ、たくさんのとげが身体中に刺さるのは溜まったものではない。
悲鳴を上げたと同時に、もんざえモンの背中にあるチャックがこじ開けられ、中から黒い歯車が飛び出していった。
『本当に申し訳ございません……』
項垂れるもんざえモンに、子ども達はもういいよって声をかけてやる。
お日様は既に傾いてオレンジ色に染まっており、おもちゃの町が時刻を知らせる鐘を響かせていた。
もんざえモンがおかしくなっていたのは、やはり黒い歯車のせいだったようだ。
いつの間にもんざえモンの中に入り込んでいたのやら、その辺りの記憶が曖昧で、結局分からなかった。
しかしもんざえモンがおかしくなっていたのは黒い歯車のせいだと分かったので、子ども達はこれ以上追及しないと言って、もんざえモンを許した。
『ミミさんの言ったとおりですね。おもちゃは、子ども達を喜ばせるためにある。それなのに私は、その子どもを泣かせてしまった……おもちゃの町の町長失格です……』
「もういいってば。全部丸く収まったんだから。なあ?」
『そうだね〜。だからもんざえモンも気にしない、気にしない!』
しかしそれでは気が済まないもんざえモン。
せめてものお詫びをと言って、赤いハートを子ども達に向かって放った。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ