ちいさなしまのおはなし
おもちゃの町
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が、今の子ども達は景色の変化を楽しんでいる余裕はない。
飛び交うピンクの排泄物から逃げるのに精いっぱいだったのだ。
執拗に追いかけてくるヌメモンに、誰かが分かれて逃げようと言い出した。
沢山いるヌメモン達の数を、少しでも減らすためだ。
耳障りなヌメモンの声は、まだ聞こえてくる。
技を放って追い払う隙ももらえず、子ども達とデジモン達はその意見に賛成するしかなかった。
自分が何処に向かっているかなんて、そんなことすら気にする余裕もなくて、ミミとパルモンは息を切らしながらも迫りくるヌメモンから逃れたくて、頑張って走る。
お洒落優先、実用性なんて二の次であるブーツのせいで足の指先に痛みが走ったけれど、立ち止まったら忽ちヌメモン達に追いつかれてしまう。
あんな、自分の排泄物を投げつけてくるような汚物系デジモンに捕まるなんて、冗談じゃない!
気が付いたら木々が立ち並んでいる林に逃げ込んだミミとパルモンは、障害物を利用してヌメモンが投げつけてくる排泄物をやり過ごす。
どうしよう、どうしよう、ってミミは周りに仲間がいない状況でどうしたらいいのか分からずに焦っている。
パルモンはそんなミミを守るために、排泄物が飛び交う中を飛び出していった。
排泄物を武器として攻撃してくるヌメモンだが、ミミを守るためなら仕方がない。
ヌメモンが攻撃する前に追い払えばいいのだ。
幸い林に逃げ込んだお陰で、障害物に隠れることができた。
こちらの攻撃態勢を整えることができたので、追いかけまわされた恨みをここで果たしてやる、とパルモンは手に収められている蔓を伸ばそうと両手を振り上げた。
しかしパルモンが攻撃を放つことはなかった。
パルモンが攻撃を放つために両手を振り上げた直後に、ヌメモンが奇声を発しながら回れ右をして逃走したのである。
あれ、ってパルモンは拍子抜けした。
まだ技を放っていないのに、近づいたら蔓で掴んで放り投げてやろうと思っていたのに、ヌメモンは逃げたのである。
ミミはパルモンを褒めてくれたけれど、何もしたわけでもないのに退散していったヌメモンに、心中は複雑だった。
どしーん、という地響きが、背後から聞こえた。
揺れる地面によろけたミミとパルモンは、何事かと背後を振り返る。
そこにいたのは、大きな黄色いクマのぬいぐるみであった。
もんざえモン、という名前のデジモンらしい。
見た目はどう見ても大きなぬいぐるみでしかないのに、数時間前に別れたアンドロモンと同じ、完全体という世代だそうだ。
デジモンには世代があり、それぞれ幼年期、成長期、成熟期、完全体というレベルで振り分けられ、基本的には世代が上であるほど強いらしい。
身体が大きくとも成熟期のグレイモンやガルルモンでも、相手が完全体だと歯が立たないのだという。
昨
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