四十一 そして空は今日も青い
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番苦手だった【影分身】を使えるんだ。だったらあんたも変われるさ」
そうして肩越しに振り返って、ナルは微笑んだ。
「ネジはオレと違って……―――落ちこぼれじゃないんだから」
にししと笑う。その笑顔がネジには眩しかった。より一層さざめく拍手の波。
観客達からの拍手喝采に、喜びのあまり対戦場を走り回るナル。彼女の有り余る元気に呆れて苦笑しつつ、ゲンマがちらりとネジに視線を寄越した。
「捕まった鳥だってな。賢くなりゃ自分の嘴で籠の蓋を開けようとするもんだ。また自由に空を飛びたいと、諦めずにな…」
ゲンマの言葉を聞きながら、ネジは天を仰いだ。同時に耳朶に届く羽音。
突き抜ける空へ吸い込まれるように飛んでゆく。一枚の羽根が陽射しを浴びて白く輝いた。
眩しさに目を細めながらもネジの瞳は、天高く自由に飛ぶその姿を捉えていた。
鳥は羽ばたいた。
医療班員に担架で運ばれる。殺風景な医務室で、ネジはベッドで横たわっていた。
傍にある窓から射し込む陽射しがあたたかい。
自身を診ていたはずの医療班員は、先ほどなぜか慌ただしく部屋を出て行った。訪れた静寂が、ネジの脳裏に試合時の記憶を呼び起こす。ナルの一言一言が彼の心を強く打った。
思考の渦に入り込んでいたネジの思索を打ち止めたのは、扉を叩くノックの音。思わず返事した彼はすぐさま顔を強張らせた。
部屋に入って来た、ヒナタの父であり宗家の当主――日向ヒアシの姿に動揺する。
「……―――何の用ですか?」
それでも厳しい視線を投げるネジ。甥の刺々しい態度にヒアシは内心苦笑した。
「真実を伝えにきた」
ヒアシの一言でネジの顔がみるみるうちに色をなした。顔色を変え、日頃の積もり積もった怒りを爆発させる。
「今更、何を……ッ!?」
忘れようにも忘れられない。
捕虜として連れ攫われたヒザシは、なぜか国境にある川沿いで発見された。おそらく死んで白眼の能力を失ったため、利用価値が無いと判断した輩が放置したのだろうと木ノ葉の里は推測した。
亡骸に縋りついて泣いたのを憶えている。幼心にも遺恨を抱き、怒りを覚えた。
宗家を一族を恨み、憎んだあの瞬間。
「あの時、私の父――日向ヒザシは……。他でもない貴方に殺されたのですよ…ッ!!」
憤然と声を荒げる。ネジの目線の先で、ヒアシは何かを我慢しているようだった。拳が震えている。
「……確かにヒザシを、弟の呪印を発動させたのは私だ…」
粛々と告げたヒアシを、ネジは瞋恚を湛えた目で睨みつけた。
額に刻まれた呪印を発動させたという事は殺したも同然。宗家にしか知り得ぬ秘印を結べば最後、脳神経が破壊される。呪印は己の宿主の最期を見届け、消える
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