四十一 そして空は今日も青い
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て【回天】を封じるには、ネジが解き放つチャクラの渦を突破しなければならない。しかし風を伴う術の威力は台風の如し。一度暴風域に入れば身体が散り散りになってしまう。近づく事さえ許されない。
だが絶対防御とされるこの術にも盲点がある。自らを中心とし、回転する。回っているネジ本人の足下だ。
ヒナタから教えてもらったのが本選寸前だったため、【土遁・心中斬首の術】を完璧に発動させる事は難しいだろう。けれど一瞬でもいい。僅かでも相手の動きを制止させれば、常に回転しなければならぬ【回天】を阻止出来る。
そして真下からの影分身・真正面からの自身の攻撃を同時に繰り出す。思いがけない場所から足を引っ張られ、足下に気を取られたネジ。【回天】を途中で止めざるを得なくなった彼に、間髪容れずナル本人が迫る。
完全に虚を突かれていたネジはこうして下と正面からの攻撃を成すすべなく受けたのだった。
煙と化した影分身の隣で荒い息を繰り返す。
やがて観覧席でもある待機場で、シカマルが大きく手を打ち鳴らした。彼に触発されたのか、疎らに沸き上がる拍手。徐々に大きくなるその音は次第に会場全体に広がってゆく。
試験会場を包み込む、割れるような拍手。それらが自分に送られているものだとは気づかず、ナルはきょとんと瞳を瞬かせた。やにわに、ぽんっと頭を叩かれる。
審判を務める不知火ゲンマが「おら。手ぇ上げろ」とナルを促した。実感の湧かぬ彼女の腕を掴み、空目掛けて高く掲げる。
「勝者―――波風ナル!!」
自身が負けた事を、ネジは半ば信じられなかった。チャクラの枯渇で動かぬ身体を地に横たわらせる。傍の木の枝上で鳥が小首を傾げて彼を見ていた。
「影分身…。お前の得意忍術か。迂闊だった…ッ」
砂を噛むように苦々しく言い放つ。ネジの独り言を耳にして、ナルは暫し口を噤んでいた。
ややあって口を開く。
「……オレってばアカデミーの卒業試験に三度落ちてる。運悪く忍術の試験がいつも…。いつも決まって、オレの一番苦手な忍術だったからだ」
あまり自分の事を多く語らないナルが珍しく打ち明ける。突拍子もない話にネジは眉を顰めた。周囲の喧騒が煩わしい。
「分身の術はオレの、一番苦手な忍術だったんだ」
ナルの告白に、ネジは目を大きく見開いた。あれだけ臨機応変に使いこなしていた術が不得意だったという事実に戸惑いを隠せない。
「日向の憎しみの運命だかなんだか、そんなの知らないけどな。お前は結局どうしたいんだよ?」
じゃりっと砂を踏み締める。ナルの問いにネジは何も答えられなかった。顔を覗き込んでくる彼女の青い瞳を真正面から見る事が出来なかった。
黙り込むネジに背中を向ける。振り向かずにナルは言葉を続けた。
「落ちこぼれのオレが一
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