暁 〜小説投稿サイト〜
渦巻く滄海 紅き空 【上】
四十一 そして空は今日も青い
[3/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

「違う。運命ってのはな……」








刹那、ネジの膝がガクンと落ちた。
片足を掴まれる。ネジの瞳が、足下にいるナルの姿を捉えた。
「な……ッ、」


バランスを崩す。よろけたその一瞬で程無く静止する回転。止まる【回天】。

「【土遁・心中斬首の術】!!」

突如、地中から現れたナルの術が真下から迫り来る。すんでの事で踏ん張るものの、引き摺りこまれるネジ。かろうじて持ち堪えたが、土中に埋まる片足。
下に気を取られたネジに向かって、眼前のナルが殴り掛かる。同時に土中から躍り出たもう一人のナルが拳を振り被った。
二人のナルからの全身全霊の攻撃。


「「自分の手で切り開くもんなんだってばよ……ッ!!」」


本人と影分身の声が重なる。瞬間、ネジは空を飛んだ。













一瞬の出来事に静まり返る会場。
何が起きたのか把握出来ていない観客達の目に入ったのは、倒れているネジと、しっかり地に立つ二人のナルの姿。


観戦していた彼は最後まで試合を見届けずに試験会場を後にした。不意に足を止め、会場を振り仰ぐ。
「おめでとう」
賞讃の言葉を送る。
ナルの勝利を心の底から祝って、ナルトは踵を返した。会場へ急ぎ向かう木ノ葉病院の者達の姿を目の端に捉えながら。
木ノ葉の里中で鳴り渡る鳥の囀り。その声はナルだけではなく、ネジをも祝福していた。



試合開始直後、ナルがまず最初に使ったのは煙玉。
煙幕で自らの姿を隠し、ネジに影分身を何体作ったのかわからないようにする。実際作った影分身は六体。その内の一体を地中に潜ませる。

ほぼ全方向を見渡せる『白眼』は確かに脅威だが、誰が自身の足下に関心を寄せるだろうか。
己が立つその場所を、死ぬかもしれぬ試合で注意するだろうか。

故にナルは影分身の一人をネジの真下で潜むよう指示したのである。その判断が後に勝敗を決するとは、彼女自身その時知る由も無かった。
フカサクの推測通り、ネジが隠し持っていたもう一つの奥の手【回天】。地面までもが円形に穿たれるその威力を目にした時、ナルは地中の影分身も掻き消されたのではと懸念した。だがネジが佇む僅かな地点だけは無事だったため、影分身も未だ生存中だと判断したのだ。
そこでそのまま影分身に地中で待機させ、術を仕掛けるタイミングを見計らう。

【八卦・六十四掌】封じの【蛙組み手】ではなく、本選直前にヒナタから教わった術――【土遁・心中斬首の術】。
この術は以前七班成立の際、カカシがサスケに仕掛けた術であり、下忍レベルのものである。実際は拷問に発展すべき術なのだが、ナルの狙いは別にあった。

【八卦・六十四掌】には前以て講じておいた【蛙組み手】の劣化版がある。そし
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ