ちいさなしまのおはなし
地下水道にて
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る。
川を挟んで向こうの道を走っていたパートナー達が、川をぴょんと飛び越えて大輔達の下へと駆け付け、彼らを守るように立ちはだかり、代表してパタモンが声を上げた。
それは、戦闘開始の合図ではなく、疑問符を含んだ言葉だった。
そこでようやく、3人と3匹は気づいた。
後ろを走っていたはずの上級生とそのパートナー達どころか、追っかけてきていたヌメモンの、姿形が何処にもないことに。
「……お兄ちゃん?丈さん?」
「太一さん……?光子郎さん……?」
「空さん、ミミさん……何で……?」
呆然としながら上級生達の名を口にするが、虚しく反響するだけで誰からの返事もない。
『えっ、えっ?ガブモォーン!ゴマモォーン!』
『アグモン!テントモン!返事してぇ!』
『ピ、ピヨモン!パルモォン!何処ぉ!?』
パタモン達も混乱しながらも、上級生のパートナー達を呼んだが、シーンとした静寂が辺りを支配していた。
さあ、とヒカリの顔が真っ青に染まる。
「どっ、どうしよう!お兄ちゃん達とはぐれちゃった!」
『ヒ、ヒカリ!落ち着いて!大丈夫よ、アタシ達がついてるから!』
「そっ、そうだよ、ヒカリちゃん!はぐれちゃったなら、探そうぜ!なっ、ブイモン!?」
『お、おう!』
パニックに陥りかけるヒカリを、プロットモンと大輔とブイモンが3人がかりで宥める。
無理もない、ヒカリはお兄ちゃんである太一が大好きで、いつもべったりだ。
こっちの世界に来てからは、最年少の小学2年生ということで一纏めに括られて、後ろの方に遠ざけられちゃっているし、大輔くんと賢くんとそのパートナー達とお喋りが楽しくて、そっちの方に集中してしまっているけれど、基本的にはお兄ちゃん子だ。
お兄ちゃんが視界に映っているから、安心して大輔と賢と一緒に後ろの方に甘んじていたのだ。
それなのに、太一が何処にも見当たらない。
今にも泣きそうなヒカリと、それに焦って宥めようとしている大輔とブイモンとプロットモンを尻目に、体力と息切れからようやく回復した賢が、大輔達を見つめた後、ぐるりと辺りを見渡し、何かを考えこむような体勢をとる。
数秒ほどして。
「大輔くん、ヒカリちゃん」
大輔達に宥めてもらったお陰で少し落ち着いたヒカリは、それでも顔色が良くない。
だからヒカリを安心させるために、賢は先ほど数秒で考えた自分の意見を口にした。
「えっとね、ちょっと周りを見てほしいんだけど……僕達がヌメモンに追いかけられてた時、えっと……ピンク色のウンチ、投げられたよね?」
排泄物を口にするとき賢が若干口ごもったが、それは置いておこう。
うん、と2人と3体は頷く。
「周りの壁とか川とかにいっぱいついたり、落ちたりしたよね?でも僕達の周りの壁にはウンチがついてない
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