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ナイン・レコード
ちいさなしまのおはなし
地下水道にて
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ンだ!とアグモンが引きつったような悲鳴を上げて、子ども達とデジモン達に逃げろと言い、駆け出した。
言われなくとも、とデジモン達は言われた通りにしたけれど、子ども達は訳が分からない。
反射的に走りだしたけれど、さっきデジモン達は、ヌメモンは弱いデジモンだと言っていたはずだし、子ども達から見てもヌメモンの外見はとても強そうには見えなかった。
アグモンがアグモンのままで戦っても余裕で勝てそうな相手なのに、どうしてデジモン達は顔を真っ青にしてあわあわ言いながら来た道を戻っているのだろうか。
その答えは、すぐに出た。

べちょっ!

子ども達の背後から、何かが投げられてすぐ横の壁にぶちまけられるように当たる。
べっとりと壁に張り付いた“ソレ”はピンク色で、粘着質な固形物だった。
それが次々と子ども達とデジモン達に向かって投げられては、壁にべっちょりと張り付く。
つん、とした刺激臭は、何故か覚えがあった。
ピンク色の正体を理解してしまったミミが、いやああああああって悲鳴を上げる。
次々と沢山のウン……ゲフンゲフン排泄物が投げられ、飛び交う中、子ども達は当たらないように必死で逃げた。
ゲンナイさんがくれたシャワー付きテントがあると言えど、排泄物まみれになるのはごめんである。


どれぐらい走ったか。無我夢中で走り続けていた賢は、気づけなかった。
最後尾を歩いていた関係で、先頭を走る羽目になっていた賢は、飛び交う排泄物を見たくなくて目を瞑りながら走っていた。
そのすぐ後ろを走っていた大輔は、後ろから飛んでくる排泄物から逃げるのに必死で、賢の背中を通り越した前しか見ていなかった。
更にその後ろにいるヒカリは、頭を守るように抱えながら、賢と同じように目を閉じていた。
だから気づかなかった。
ぽっかりと開いた排水溝を通り過ぎて、最年少3人とそのパートナー達はとにかく迫りくる危機から逃れようと必死だった。

「っ、みんな!こっち!」

最年少3人の後ろを走っていたミミが、排水溝に気づいて飛び込んでいく。
後に続いた他の子ども達とデジモン達もミミの後を追っていったが、誰1人として排水溝を通り過ぎてしまった最年少達に気が付かなかった。






『……あ、れ?』

どのぐらい走っていただろうか。
先頭を走っていた賢だったが、スポーツは体育の授業でぐらいしかやったことがないせいで、走るスピードがどんどん落ちていく。
すぐ後ろにいる大輔が、早く走れって急かしながら賢の背中をぐいぐい押すけれども、無理なものは無理だ。
体力も限界、足も縺れ始めてうまく走れない。
もうダメだ、って賢はとうとう膝をついてしまった。
追いついた大輔とヒカリが賢に立ってと促すけれど、息が切れて苦しい賢は両手を地面について大きく呼吸をす
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