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ナイン・レコード
ちいさなしまのおはなし
地下水道にて
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よーだなんて、人間って不便だね』
「あはは……」
「おぉーい、けーん!」
『パタモーン!何してるんだよー!』

ここでようやく、ヒカリが落ち着いてくれたのか、姿が見えなくなった賢を探しに来てくれた大輔とブイモンが、坂道の下で自販機の前に立っている賢に気づいてくれた。

「え、これって自販機?」
「ラッキー!何か買おうぜ!喉乾いちまった!」

坂道を下って賢の下に駆け付けたヒカリと大輔は、セピアの草原に不自然に立ち並んでいる自販機にびっくりしていたが、喉の渇きが優先されてしまい、不条理な光景に対する突っ込みは脳内の隅に追いやられてしまった。
ヌメモン達の排泄物から逃れるために行方不明になってしまった上級生達を探すために、身体の小さい最年少達は上級生達の倍ぐらいの労力を使って歩き回っていたのだ。
喉がカラカラに乾いてくるのも無理はない。
が、賢がストップをかけた。

「うーん、大輔くん。その自販機使えないと思うよ?」
「えっ、何で?」
「自販機も、電気があるから動くんだよ。僕、前に自販機がどうやって動くのか気になって、お兄ちゃんに教えてもらったんだ。僕の腕ぐらいの太いケーブルがあってね、そこから電気をもらって動くんだって。でもこの自販機、ケーブルないよ?」

ほら、って賢は大輔とヒカリを自販機の後ろに連れて行って指をさす。
お家でも見たことがあるコンセントがあって、そこにケーブルはなかった。
だからお金を入れてボタンを押しても、自販機は飲み物を出してくれないし、出してくれたとしてもこの暑さである。
気温が高いところに食べ物や飲み物を長い時間放っておくと、腐ってしまってお腹を壊すんだよ、ってお兄ちゃんに教えてもらったのをちゃんと覚えている賢い子は、友達にもそれを教えてあげる。

「それに海にあった公衆電話、あれ僕が住んでるマンションの近くにもあるけど、結局誰もお家に繋がらなかったでしょ?だからもし僕達の世界にあるものと同じものを見かけても、それがちゃんと使えるかどうか分からないから、まずは調べてからだってお兄ちゃんが」
「あーそっかぁ。治さんが言うんならしょうがないよなぁ」
『オサムってホント物知りだなぁ』
『ね。すごいよねぇ』
「飲み物飲みたかったねぇ、プロットモン」
『うん。アタシももう喉乾いちゃったぁ』

この自販機は使えない、という結論に達した最年少達は、とりあえず上級生達の捜索を再開するために歩き出そうとした、時だった。


バァン!!


大輔達が観察していた自販機が、突然大きな音を立てて蓋が開くように立方体の側面が開いたのだ。
大きな音にびっくりした最年少とパートナー達は、ビックーンと全身を震わせてその場に硬直した。
ぎ、ぎ、ぎ、と錆びたロボットが無理やり動くようなぎこちな
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