ちいさなしまのおはなし
地下水道にて
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ろう、と不安に駆られた2人と2体が大輔の隣に移動すると、その意味を理解した。
ピンク色の排泄物が、途切れていたのである。
ここに来るまでにほぼ真っすぐ投げつけられていたピンク色が、ぱったりと途切れている。
さあ、と賢とヒカリの顔が青くなった。
手がかりが、なくなってしまった。
目を逸らしたくなるような光景ではあったものの、太一達の下へたどり着く唯一の手掛かりだったのに。
このままでは会えなくなってしまう、と再びパニックに陥りかけたヒカリに気づいて、大輔とブイモンとプロットモンが再度彼女を宥めにかかった。
『ど、どうしよう、ケン〜!』
「とっ、とにかく、何か周りにないか探そう!」
『う、うん!』
ヒカリは大輔達に任せて、賢とパタモンは何かないかと辺りを見渡す。
しかし見渡す限り青空と白い雲、それからセピア色の草原以外何も見当たらない。
大輔達から少し離れて、何か見えるものはないだろうかと、足元がお留守になっていた賢は、踏み出した足に地面がなくてすっ転びそうになった。
うわ、と悲鳴を上げて、一瞬滑り落ちた賢だったが、何とか踏ん張った。
賢の悲鳴を聞きつけて、賢とは別の方向を見ていたパタモンが慌てて飛んでくる。
『ケン!?大丈夫!?』
「だっ、大丈夫……!」
目を見開いて驚きの表情を浮かべてはいたが、咄嗟に踏ん張ったお陰で転がり落ちずに済んだ。
背中で這うように坂道を上がって、ふうと一息。
「……何だろう、あれ?」
『ほえ?』
賢の視界に映ったのは、乱雑に置かれたたくさんの自販機。
色んな色や種類の自販機があった。
兄譲りの好奇心が疼いた賢は、大輔達を呼ぶのも忘れて坂道を下る。
賢が住んでいる集合住宅のすぐ近くにあるのと同じ自販機だったり、見たことのない文字や飲み物、ジュースを売っているものもあった。
『ケン、これなぁに?』
「自販機だよ。お金を入れてボタンを押すと、ここにあるのと同じものが出てくるんだ」
『オカネって?』
「え?パタモン、お金知らないの?」
どうやらこの世界には金銭の概念はないらしい。
賢もまだよく分かっていないので、お金とは何か欲しいものを買うときに必要なものなのだと、お兄ちゃんが昔教えてくれたことをそのまんまパタモンに教えてあげた。
お金がないと、欲しいものが手に入らない。
しかしパタモンはそれでもよく分かっていないようだった。
食べ物が欲しいのなら、そこら辺に生っている木の実や果物をとればいいじゃない、というのがパタモンの反論である。
服や靴もデジモン達には必要がないから、それを買うためのお金だと言ってもピンとこない。
結局賢達の世界では必要不可欠なもので、文化の違いのようなものなのだと無理やり納得させるしかなかった。
『オカネがひつ
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