ちいさなしまのおはなし
選ばれし子ども達
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った。
どうやらゲンナイは男子と女子でテントを分けてくれていたらしい。
良かった、と胸を撫で下ろして、テント3を調べる。
「きゃああああああああああっ!!うそっ!本当に!?」
ミミが悲鳴を上げた。
無理もない、テント3はシャワールームだったのだ。
もう2日も身体を洗っていない。
女の子を体現しているミミにとっては、とても我慢ならない状況だった。
入りたい!と今にも服を脱ぎだしそうなミミを宥めて、まずは男子と女子それぞれのテントを確認しようということになった。
「俺とブイモン、ここー!」
『ここー!』
「あー!大輔くん、ずるい!じゃあ、僕とパタモンここ!」
『わーい、ふっかふかー!』
テントに入って目の前、奥にある2つのベッドに、大輔とブイモン、遅れて賢とパタモンが突撃していった。
ぼふん、と程よい硬さのクッションに身を投げ、きゃあきゃあとはしゃぐ最年少を尻目に、太一達はテントの中を隈なく調べる。
見れば見るほど不思議だった。
外からは人1人ぐらいしか入れないほどの小さなテントでしかないのに、中は広々空間で、前にテレビで見た、モンゴルの移動民族の住居みたいだな、と治は思った。
「……ちゃんと寝られる場所が確保できれば、とは思っていたけれど、まさかここまでとはね」
「いいじゃん、雨風凌げるんだから、文句は言いっこなし!な?」
「いや、別に文句じゃないんだけど……」
上機嫌の太一が、治の肩を組んでニッコニコである。
あからさまだなぁ、と治は苦笑した。
一方、女子のテントの方。
広さは男子のテントと同じぐらいだろうか。
ベッドの数が少ないせいで、使える空間は男子より広い。
それぞれのベッドの横にヒカリの肩ぐらいの高さの小さな引きダンスがあったので、ヒカリは恐る恐ると言った様子でタンスの引き出しを引いた。
あ、と声を漏らした後、慌てて他のタンスの引き出しの中も見やる。
空さん!ってヒカリは興奮したように空を呼んだ。
「どうしたの、ヒカリちゃん?」
「こっ、これ!あの、これ!見てください!」
興奮して上手く言葉を発せないようだ。
傍らにいるプロットモンが慌てている。
空はピヨモンと共にヒカリとプロットモンに近付き、ヒカリが指さしている引き出しを覗き込んで……絶句した。
「……あああああああ!!うっそ!お着替えまである!!」
後からついてきたミミとパルモンも同じように引き出しの中を覗き込んで、悲鳴を上げた。
そこには、空が今着ている服と全く同じ服が丁寧に畳まれて入っていたのだ。
どうして、って空は困惑である。
確かに2日も同じ服、同じ下着で、せめて洗濯したいとは思っていた。
ゲンナイが子ども達へのサポートの一部として、寝床を用意してくれたのは本当にあ
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