ちいさなしまのおはなし
選ばれし子ども達
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を見せ始めている太一が、まずはテントに顔を突っ込んだ。
「……は?」
「おい、どうした太一?」
入り口に顔を突っ込んだ体勢で硬直してしまった太一に、治が声をかけた。
何も答えずにそのままするすると中へ吸い込まれるように入ってしまったので、みんなで顔を見合わせた後、次々中に入る。
「……何これ?」
「きゃあああっ、すごーい!」
空が唖然と呟き、ミミは感嘆の言葉を漏らした。
テントの中は、外見とは裏腹に広々とした空間になっていた。
外見は人が1人入るのがやっとと言った感じなのに、中は子ども達とデジモン達が全員入ってもまだ余裕そうだった。
それだけではない。
真ん中に簡易だが調理ができる暖炉が置いてあり、その下にはふわふわのカーペットが敷かれていた。
テントの縁に沿ってぐるりと置かれていたのは、子ども達念願のベッドだった。
初日の夜は運よく路面電車を見つけて、そこを寝床にすることができた。
アクシデントにより、深く眠ることが出来ずに結局そこら辺で野宿することになってしまったが。
路面電車を見つけられたのは、殆どラッキーのようなものだ。
次に寝るところにも都合よくベッドの代わりになるようなものがあるとは限らないし、だからと言って寝る度にあの湖に戻るのは面倒くさい。
だからこのテントを貰えたのは、とてもありがたかった。
これから夜をどうやって過ごすか、雨風をどうやって凌ごうか、考えるだけで億劫だったのだが、これならゆっくりと身体を休めそうだ。
あれ、と部屋を見渡していた大輔が、何かに気づいた。
「どうした、大輔?」
「太一さん、ベッド、6個しかないよ?」
言われて気づいた。ベッドの数を数えたら、6つしかなかった。
デジモン達はそれぞれのパートナーと一緒に寝ればいいとして、ベッドの数が圧倒的に足りない。
最年少3人とそのパートナーに1つのベッドを使わせたとしても、残りのベッドは5つ。
1人が見張りに出ていれば全員使えるが、そもそも男女が同じ空間で寝るのも……と上級生が気まずそうに顔を見合わせていると、光子郎が思い出した。
アンドロモンがインストールしてくれたアイテムは、これだけではなかった。
テント1、と書かれたアイコンの他にテント2と3があるのだ。
もしかして、と光子郎は慌ててテントの外に出て、先程アンドロモンが教えてくれた手順を繰り返し、テント2と3のアイコンをそれぞれダブルクリックする。
テント1と形状が同じテントが出てきた。
「空さん、ミミさん、ヒカリさん、来てください!」
中を覗き込んで確認した光子郎が、女子を呼ぶ。
呼ばれた女子達は最初に出したテントから出て、光子郎がひょっこりと顔を出しているテントに移動する。
そちらも似たような作りだったが、ベッドの数は3つだ
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