ちいさなしまのおはなし
選ばれし子ども達
[4/13]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
本題に入る。
ゴクリ、と誰かの喉が鳴った。
《君達をここに呼んだのは、この世界を救ってもらうためだ》
シン、と空間が静まり返った。
《今、この世界は邪悪な意志の脅威にさらされている。我々も抵抗したのだが……所詮は戦闘能力が皆無に等しい、セキュリティーシステムの末端だ。とても敵わなかった……》
目を閉じ、俯くゲンナイの握った拳は、震えていた。
《この世界の光の守護者達も、力及ばず封じられてしまった。そこで我々は、この世界に伝わる言い伝えを実現させることにした》
曰く、世界が暗黒の力に覆われた時、別の世界から“選ばれし子ども達”がやってきて世界を救う、というものらしい。
本当か嘘かも分からない、眉唾物の言い伝え。
しかしそれに縋らなければならないほど、ゲンナイ達はひっ迫していたのだ。
《何故自分達が、とみな思っているだろう。だが事態は深刻なのだ。何故ならこの世界の状況が君達の世界にも影響を及ぼしている。君達の世界の異変は、そのせいなのだ》
だからこそ、
《どうか、我々に力を貸してくれないか。こんな一方的なメッセージで頼むのは本当に心苦しいのだが……》
映像のゲンナイは、苦しそうな表情を浮かべながら頭を下げた。
子ども達は困惑する。
いきなりそんなこと言われたって、と誰もが表情で語っていた。
当たり前である、子ども達はいつも通りの日常を過ごそうとしていたのだ。
サマーキャンプに出掛けただけだったのだ。
3日間のキャンプを終えたら、みんなお家に帰って、夏休みをダラダラしたり宿題をしながら過ごしていく予定だったのだ。
それが、突然壊された。不思議な機械、デジヴァイスに導かれ、異世界へと飛ばされてしまった。
デジモンと名乗る不思議な知的生命体と、宛てもなくただ彷徨っていた矢先に聞かされたのは、この世界を救ってほしいという一方的なお願い事。
Yes以外の選択肢なんて、あってないようなものである、あんまりだこんなのは。
文句を言うことすら、今の子ども達には許されない。
このやるせない気持ちを、何処に、誰に、ぶつければいいのか。
……でも、はっきりとNoを突きつけることも、子ども達には出来なかった。
今世界中で起こっている異変が、デジタルワールドによる影響のせいだと聞かされて、そんなの知らないと突っぱねるほど冷徹な子は、ここにはいなかった。
ここに飛ばされてからずっとずっとついてきているデジモン達。
やっと会えたって、ずっと待ってたって言って嬉しそうに縋ってきて、子ども達を護るのだと豪語している彼ら。
最初こそ警戒したものの、彼らの言葉にも態度にも嘘偽りはなく、ピンチになった時は本当に護ってくれた。
あんなに凄い力を持った彼らだ、自分達を手にかけるつもりなら、最初から
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ