過去を凌駕する
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半壊している建物。その中央には横たわり、明るくなりつつある空を見上げている二人の魔導士がいた。
「お前・・・やるじゃねぇか・・・」
「おめぇこそ・・・」
大きく息を乱し立ち上がることもできない両者。しばらくそのままになっていたが、カミューニがゆっくりとその場に立ち上がった。
「こんなところで勝てないようじゃ、まだまだ聖十大魔道には程遠いな」
「聖十大魔道?」
少年から発せられた単語に思わず体を起こす。フラフラの少年はその場から去ろうとしながら、話を続ける。
「俺は目的のために、聖十大魔道にならなきゃならねぇ。そのためには強い奴を倒し続けるんだ」
大陸での優秀とされる10人に入る。それが少年の第一の目標だった。だが、それを聞いたラクサスは深いタメ息をついた。
「聖十大魔道ってな、素行もよくないと入れないんだぞ?」
「何!?そうなのか!?」
勢いよく振り向いた少年。彼は聖十大魔道が評議院が決めていることをわかっていなかったらしい。評議院が決めるのであれば、当然魔法の強さや魔力の高さだけではなく、他の魔導士の手本となれるのかが評価の対象だ。
「じゃあ魔導士狩りなんかしてたら一生なれないってことか!?」
「普通に考えればそうなるな」
まるで絶望したかのような表情を浮かべたカミューニだったが、すぐに冷静さを取り戻すと入り口へと向かっていく。
「いいこと聞いたぜ、ありがとな!!」
「お・・・おう」
純粋な子供のような笑顔で手を振った彼はそう言うとボロボロの店を後にする。それから一年後のことだった、彼が聖十大魔道へと名を連ねたと聞いたのは。
「こいつ・・・これほどの力を持っていたのか」
ブレーキをかけているはずの天海がみるみる押されていく。それによりシリルとナツから大きく距離を取ることに成功していた。
「やるぅ。でも、俺を引き離せてないのが君らの敗因かな?」
右肩から血を流しているラクサス。ティオスは鼻血を拭うと、彼の元へと歩み寄る。
「彼は天海に任せよう。君はここでゲームオーバーだ」
ラクサスの頭に手をかけ仕留めようとしたティオス。しかし、この男はそれを待っていた。
ガッ
「!!」
ラクサスは目の前までやってきたティオスに突進すると、そのまま彼を抱えて押し込んでいく。
「なっ!?最初からこれを狙っていたのか!?」
ティオスは全員を不幸に落とし殺そうと考えている。それならば、彼は遠距離から呆気なく殺すよりも近距離で残忍な方法で攻撃に出てくることを彼は予期していた。それゆえに、その無防備に近付いてきたタイミングでの反撃に賭けていた。
「
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